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【特集】パンチ Research Memo(1):自動車向け金型用部品の需要拡大や原価率改善で上場来最高業績更新

パンチ <日足> 「株探」多機能チャートより

金型用部品で国内2位、中国で首位。標準製品のほか特注品にも対応できる技術開発力に強み。パンチ工業<6165>の業種別売上構成比(2016年3月期)は自動車向け46.5%、電子部品・半導体向け17.9%と2つのカテゴリーで6割強を占める。地域別売上高では日本向けが42.5%、中国向けが48.4%を占めている。

2016年3月期の連結業績は、売上高が前期比6.9%増の36,755百万円、営業利益が同15.2%増の1,986百万円と連続で上場来最高業績を更新した。期後半に中国経済成長の減速や為替の影響を受けたものの、自動車向け金型用部品の需要拡大や原価率の改善により、ほぼ期初会社計画どおりの着地となった。

2017年3月期は売上高が前期比0.7%増の37,000百万円、営業利益が同0.7%増の2,000百万円となる見通し。人民元レートの影響が減収要因となるほか、ベトナム新工場の立上げ費用等があるものの、高付加価値品の売上増や原価改善効果により増収増益を維持する。また、前期に営業外で計上した為替差損に対して、取引通貨の見直しや為替予約によるヘッジ等の対策を実施したこともあり、経常利益ベースでは同16.1%増と2ケタ増益となる見通し。足元は、中国における自動車向け金型用部品や、車載用電子部品などの受注が堅調で、順調な滑り出しを見せている。

新たに策定した5ヶ年の中期経営計画「バリュークリエーション2020」では、最終年度となる2021年3月期に、売上高47,000百万円以上、営業利益3,300百万円以上を目指していく。ベトナム工場が2016年10月より稼働することで、グループ生産体制の最適化を進めていくほか、食品、医療、航空宇宙産業関連など景気変動の影響を受けにくく、将来の拡大が見込まれる業種との取引拡大を進めていくことで業績の拡大を図っていく。また、現在は売上構成比の1割弱にとどまる欧米市場の開拓も進めていく方針だ。

株主還元では、安定かつ継続的な配当を基本としており、連結配当性向の目安としては現状の20%から、段階的に30%に引き上げていく方針を示している。業績が中期経営計画の目標通りに推移すれば、増益基調に配当性向の引き上げが相俟って、1株当たり配当金は2017年3月期予定の26.0円から相当額の増配が見込まれる。

■Check Point
・世界の金型用部品市場は2015年で5000億円超の規模に
・食品・飲料関連、医療機器関連の拡販を進め高付加価値品目を拡大
・航空宇宙産業関連への研究開発投資や設備投資、認証取得にも取り組む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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