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【経済】NYの視点:米5月JOLTは年初来で最低


イエレンFRB議長が米国の労働市場のたるみを探る上で注視している米労働省が発表したJOLT求人件数の5月分は550万件と、市場予想の565.0万件を下回り年初来で最低にとどまった。この結果は、5月の雇用統計で雇用の伸びがわずか11万人となった結果と一致する。ただ、過去最高を記録した4月分は578.8万件から584.5万件へさらに上方修正された。

JOLT指数の内訳では、5月退職率(Quits rate)は2.0%と、4月と同水準にとどまった。ほぼ金融危機前の水準 2.1%付近で推移。退職率は雇用者の労働市場に対する自信をあらわすとしてイエレン議長が最も注目している。そのほか、5月解雇率(Layoffs/discharges rate)は1.2%、5月採用率(Hires rate)は3.5%でそれぞれ4月の水準を維持した。しかし、雇用(hiring levels)水準は503.6万人と3ヶ月連続の減少で、2014年8月来で最低となった。企業は突如として新たな雇用に慎重になったことがわかる。雇用水準は常にトレンドの変化を表すインディケーターとして注目されるが、雇用の減少は米国の労働市場にとり良いニュースとは言えないと悲観的な指摘もある。また、退職(Quits level)も、289.5万人と1月来で最低にとどまったことも雇用者が労働市場への自信を失いつつある証拠となる。

セントルイス連銀のブラード総裁は本日の講演で、「米国経済が景気後退に陥ると予想する理由はない」としながらも、「米雇用の改善ペースは今後鈍化する」との見解を示し、この見通しに基づき2018年まで低金利を維持することになると指摘した。

《WA》

 提供:フィスコ

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