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【特集】Eストアー Research Memo(4):専門店型ECサイトに対する支援事業が強み

Eストアー <日足> 「株探」多機能チャートより

■構造改革の方向性と進捗状況

(3)販促事業の将来性とEストアーの強み

弊社では、販促事業の将来性は非常に大きいと考えている。その潜在成長性をきちんと企業業績として具現化できるかがポイントだが、弊社は、同社にはそれが可能だと確信している。そう考える理由は、Eストアー<4304>には以下の2つの強みがあるためだ。

a)専門店に特化した15年間にわたるノウハウの蓄積
同社が販促事業を展開する相手方は、既存客であれ新規顧客であれ、専門店型出店の店舗を対象としている。この意味するところは、「ある特定分野の商材に特化した専門性のある企業の、本店サイト」ということだ。同社の既存客のほとんどはこうした専門性のある企業・商店となっている。

同社は1999年の創業以来、専門店型ECサイトに対して支援事業を行ってきた。専門店には専門店なりの売り方、サイトの作り方があり、それはモールへの出店とは明確に異なる。モール型の場合にはモール自体が有する集客力があるため、それを活かすことが可能で、それに応じたサイトの作り方がある。しかし、多数に埋没するリスクや価格競争に陥るリスクも同時に抱えている。一方、専門店型(自社サイト)の場合には独自の集客の努力が必要で、この点について自前で対応できる企業は多くはなく、ECコンサルタントにしても、しっかりとしたノウハウを有して実績を出せるコンサルテーションを行える企業は決して多くはない。しかし、特徴ある店づくり(サイト作り)ができれば自社のブランドを確立し、リピート客や口コミ客等の育成も可能になってくる点で、モールの支店よりもポテンシャルは大きいと言える。

同社は例えば、集客において、リスティング広告やアフィリエイト広告など多様な集客方法を、どこにどういうタイミングでどう使い分けて打つか、というようなノウハウを蓄積してきた。扱う商材ごとにそうしたノウハウが違ってくるという側面もあるが、それへの対応力も十分に備わっている。

b)真のワンストップ・サービスの提供
もう1つの強みは、調査・分析から集客、サイト制作、顧客管理などネットショップに関する業務をワンストップで提供できることだ。ワンストップ・サービスを掲げる企業は数多いが、解決策を自社の得意領域に落とし込んでしまって、最適なソリューションを提供できていないケースが多いようだ。例えば広告企業であれば問題の解決策をすべて広告に落とし込み、サイト制作企業であればサイトの修正に解決を求める、ということだ。同社は設立当初から「EC支援」がDNAであって、広告やサイト制作などの業務はEC支援という目的実現の手段に過ぎないため、分析に基づいた最適な提案を行っているということだ。真のワンストップ・サービスが提供できる場合、ECのプロセスを切り分けて別々の会社に改善を委ねる場合と比べて、効率の良い改善が図れるということは想像に難くないであろう。

同社はこれらの強みを武器に販促事業を拡大していくが、この領域での競合は、同社自身の認識では、ほんの数社あるかどうかという状況だ。弊社では、ターゲット顧客の規模やサービス内容に照らして、ソフトクリエイトホールディングス<3371>の事業と重なる部分が多いという認識している。詳細は後述するが、潜在的な市場規模の大きさを考えると、同社とソフトクリエイトがパイを争うというイメージは浮かんでこない。むしろ両社が良い意味で競い合うことで、eコマースのコンサルティングや業務代行の意義や、ワンストッピングで委託することのメリットの大きさなどについて認識が広まり、需要を刺激して同社が狙う市場の早期拡大につながるという状況を、弊社では期待している。その意味で、人員面で早期に体制を整えることが、目下の最重要課題だと言えるだろう。

同社はターゲット顧客の売上高の規模を数億円から数百億円としている。これを従業員数に置き換えると、数十人から1,000人以下のレンジになるのではないかと考えられる。総務省の「平成24年経済センサス?活動調査」によれば、従業員数別の分類で「10人~19人」から「300人~999人」という枠に当てはまると言える。同調査によれば、この分類に属する企業数は697,675社に上る。同社にとっては無限大とも言える数値であり、競合との顧客争奪ということも大きな問題とはならないと弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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