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2016年07月11日20時00分

【特集】田部井美彦氏【日経平均一時700円高! 反転上昇は本物か】(3) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 週明け11日の東京株式市場は前週末の下値模索の地合いから一変、日経平均株価は大幅高で一時700円を超える上昇をみせた。市場の想定を大きく上回る好調な米雇用統計や10日に投開票された参院選では与党が文句なしの勝利を収めたこともあって、一気に買い戻しが進んだ。もっとも、ブレグジット・ショックは依然として尾を引いており、為替の円高進行を背景とした企業業績に対する懸念もくすぶる。不透明な相場環境のなか、果たして今後の東京市場は上下どちらを指向するのか。第一線で活躍するマーケット関係者に意見を聞いた。

●「経済対策の内容や円高傾向に冷静な見極め必要」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 日経平均が600円を超えるきょうの急反発は、ややスピードオーバーと判断している。自民・公明の与党が勝利したことで、憲法改正や日ロ平和条約の締結交渉が話題となっているが、有権者は与党の経済政策を評価して議席を与えたのではないか。一つは消費増税の再延期、もう一つは今後の経済対策への期待感だ。したがって、今後打ち出される経済対策で、期待に比べてその規模が小さい場合や、新鮮味に欠ける内容と受けとめられたケースでは、期待先行の株価上昇プレミアムがはげ落ちる可能性もある。

 前週末の米6月の雇用統計で、非農業部門雇用者数が前月比で28万7000人増加と、市場予想の約18万人を大幅に上回り、米国の先行き景気回復期待から米株式市場で、NYダウ平均株価が前日比250ドルを超える上昇幅で年初来高値を更新する強調相場となった。ただ、米5月の非農業部門雇用者数の極端な低水準と2カ月分を平均してみれば、15万人程度となるわけで、今後の米利上げペースについても冷静な判断が必要となる。

 ただ、参院選が与党の勝利で終了したことで、解散・総選挙を急ぐ機運が高まるようであれば、その前にさまざまな経済対策が集中的に打ち出される可能性もある。この場合は、株価が実態以上に上昇することになりそうだ。

 今月下旬から3月期決算企業の第1四半期(4-6月)の決算発表が本格化するが、多くの輸出関連企業の今期想定為替レートが1ドル=110円水準にあることを考えると、中間期や通期の業績下方修正懸念の頻発を考慮しておかなければならない。

 いずれにしても、輸出関連企業の想定為替レートと現状の円高状態に大きなカイ離があるなかでは、輸出関連銘柄の売買スタンスは戻り売り姿勢とならざるを得ない。当面の物色対象は、好業績の内需株ということになる。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。


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