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【経済】NYの視点:【7/5IMM】円買い持ち増、今週の注目:BOE金融政策、米ベージュブック、中国GDP


シカゴIMMの短期投機家・投資家による円の買い持ち高は前週から増加し、依然として過去最大水準近辺で推移している。

今週は、国民投票でEU離脱が決定されてから初めて開催される英国中央銀行(BOE)の金融政策決定会合に注目が集まる。英カーニー総裁は国民投票を受けた会見ですでに、経済の鈍化を警告し、夏に緩和策を実施する可能性を示唆した。7月の会合で英国中央銀行は政策金利を現行の0.5%から0.25%に引き下げることがほぼ織り込まれた。議事録で、続く次回8月会合での追加利下げ、または資産購入規模の拡大などの追加緩和観測が強まると一段のポンド売りにつながる。

また、中国の重要経済指標の発表も目白押し。6月貿易収支は黒字幅の縮小、輸出や輸入も鈍化が一段と拡大すると見られているほか、4?6月期国内総生産(GDP)も1?3月期から成長鈍化が予想されており、世界経済鈍化懸念を強めリスク回避の動きに拍車をかける可能性もある。

米国労働省が発表した注目の6月雇用統計の結果は、4月、5月の雇用の鈍化が一時的である可能性が強まり、労働市場が依然拡大基調にある証拠となった。万が一、予想を下回り、引き続き弱い結果となった場合には、世界経済がリセッション(景気後退)に陥る懸念を高めると警戒が強まっていたため、予想を上回った結果はFOMCや市場関係者に安心感を与えた。

6月雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比28.7万人増と、昨年10月来で最大の伸びを記録。ただ、ベライゾンのストライキという特別要因が加わった5月分は+3.8万人から+1.1万人へ下方修正されたほか、4月分は2.1万人上方修正され、2か月合計で6000人下方修正された。増加幅は3か月平均では14.7万人、年初来の平均は17.2万人、と安定。

米6月失業率は4.9%と5月4.7%から上昇し、予想4.8%も上回った。しかし、労働参加率が上昇したためと好感材料に捉えれている。労働参加率は62.7%と、5月の62.6%から上昇。不完全雇用率も9.6%と、9.7%から低下し2008年4月来の低水準となった。一方、平均時給は前月比+0.1%と予想外に4月+0.2%から伸びが鈍化、横ばいとなった2月来で最低の伸びにとどまった。前年比では+2.6%と、年初来で最大の伸びとなったものの、市場予想の+2.7%は下回った。雇用統計の結果はまあまあ、「just ok」との評価。依然、英国のEU離脱による不透明感、イタリア銀行の不良債権問題がくずぶるため、FOMCは利上げに慎重な姿勢を維持すると見られている。

特にイエレンFRB議長が懸念している雇用のたるみの状況を、6月労働市場情勢指数や5月JOLT求人で確認していくことになる。また、6月生産者物価指数(PPI)消費者物価指数(CPI)などのインフレ指標が発表になるが、相変わらず低調。また、米国経済の7割を占める消費の動向を探る上では6月小売り売上高にも注目されるが、5月から伸びが鈍化する見込み。こちらもFOMCが当面利上げに慎重な姿勢を維持するとの見方を後押しする。このため、ドルも軟調な展開が継続する可能性がある。


■イエレンFRB議長の雇用たるみダッシュボード(最新)

◎危機前に比べ状態が改善 ← 危機前の水準と比較
4月解雇率(Layoffs/discharges rate):1.1%(前回1.2%) ← 1.4%(下回る)
6月失業率(Unemploynent rate):4.9%(5月4.7%) ← 5%
4月求人率(Job openings rate):3.9%(3月3.8%) ← 3%(上回る)
6月雇用者数(Nonfirm payrolls):28.7万人 ← 16.18万人(下回る)

◎状態が危機前より依然悪い ← 危機前の水準と比較
4月退職率(Quits rate):2.0%(3月2.1%) ← 2.1%
6月広義の失業率(U-6):9.6%(5月9.7%) ← 8.8%(上回る)
6月長期失業率:40.5%(5月40.8%) ← 19.1%(上回る)
6月労働参加率:62.7%(5月62.6%) ← 66.1%(下回る)
4月採用率(Hires rate):3.5%(3月3.7%) ← 3.8%(下回る)


■今週の主なイベント

●英国
14日:英国中央銀行金融政策決定会合:政策金利予想0.25%(現行0.5%)、資産購入目標予想3750億ポンド(現行3750億ポンド)

●米国
11日:6月労働市場情勢指数:5月‐4.8、ジョージ・カンサスシティ連銀総裁が米国経済に関して講演、メスター・クリーブランド連銀総裁講演
12日:5月JOLT求人:4月578.8万件、タルーロFRB理事が講演、ブラード・セントルイス連銀総裁が講演、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁が講演
13日:米連邦準備制度理事会(FRB)がベージュブック公表、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、カプラン・ダラス連銀総裁が講演
14日:6月生産者物価指数(PPI):予想:前月比+0.3%(5月+0.4%)ロックハート・アトランタ連銀総裁、ジョージ・カンサスシティ連銀総裁、カプラン・ダラス連銀総裁講演
15日:6月小売り売上高:予想前月比+0.1%(5月+0.5%)、消費者物価指数(CPI):予想前月比+0.2%(+0.2%)、カプラン・ダラス連銀総裁、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁が講演

●ユーロ圏
ユーロ圏財務相会合:イタリア銀行、スペイン、ポルトガル財政に関して協議

●中国
12?13日:6月貿易収支:予想+460億ドル(5月+499.8億ドル)、輸出:予想前年比‐5.0%(5月‐4.1%)、輸入:予想前年比‐6.2%(5月‐0.4%)
15日:4?6月期国内総生産(GDP):予想前年比+6.6%(1?3月期+6.7%)、6月小売り売上:予想前年比+9.9%(5月+10.0%)、6月鉱工業生産:予想前年比5.9%(5月+6.0%)

●地政学的リスク
ウクライナ紛争
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン


【IMM】

ネット・円買い持ち:+63,568(7/5)←円買い持ち:+59,750(6/28)(直近ネット円買い持ち最高水準:08年3/25+65,920、04年2/6+64499)(過去最高ネット円売り持ち高:07年6/26-188,077)

*ユーロ
ネット・ユーロ売り持ち:- 75,327(7/5)←ユーロ売り持ち:- 61,934(6/28)(07年5/15:+119,538過去最高買い持ち高、10年2/9-57,152過去最高の売り持ち高)

*ポンド
ネット・ポンド売り持ち:- 49,031(7/5)←ポンド売り持ち:- 42,711(6/28)(07年7/22:直近ネット買い持ち高最高水準+98,366)

*スイスフラン
ネット・スイスフラン買い持ち:+ 10,867(6/28)←スイスフラン売り持ち:+10,867(6/28)(過去最高スイスフランネット売り持ち高:07年6/19:-79,331)

*加ドル
ネット・加ドル買い持ち:+8,678(7/5)←加ドル買い持ち:+7,949(6/28)(直近ネット買い持ち高最高水準:07年10/12+83001)

*豪ドル
ネット・豪ドル買い持ち: +4903(7/5)←豪ドル売り持ち:‐1952(6/28)

《NO》

 提供:フィスコ

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