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【材料】【FISCOソーシャルレポーター】個人投資家DAIBOUCHOU:KG情報を例に下方修正を避ける方法を探る

ジャスダック <日足> 「株探」多機能チャートより

以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家DAIBOUCHOU氏(ツイッター:@DAIBOUCHO )が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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※2016年7月8日18時に執筆

フィスコソーシャルレポーターのDAIBOUCHOUです。

昨日7月7日に、KG情報(JASDAQ 2408)が下方修正を発表して、株価が急落しました。KG情報は、岡山県を拠点に中四国、九州地域で地域別求人情報誌を発行している会社です。

KG情報は、有利子負債ゼロで現金資産が52億円もあるのに、時価総額が37億円しかないという、いわゆるネットネット株の典型例です。そんな割安な資産バリュー株でも、業績が悪化すれば株価が下がります。資産バリュー株だからと言って、買って放置するだけで大丈夫な訳が無く、業績の懸念を察知して、悪材料が表面化する前に売り逃げないといけません。今回、KG情報を実例に、事前に危険を察知して、下方修正発表の前に売り逃げるにはどうすれば良いかを書いてみます。

私もKG情報には興味があり、今期の増益予想に期待して、今年1月27日に購入しました。ただ、人材不足を背景に人材採用関連の業績が良い傾向なのに、KG情報は2012年12月期をピークに減益傾向となっていました。今期業績は前年比50%増の大幅増益予想だったので、今までの減益傾向を跳ね返して、大幅増益に反転させるには何らかの抜本的な改革が必要だと思いましたが、会社の公表資料を見ても確信が持てる好材料を見つけられませんでした。

結局、3月10日に売却したのですが、理由は、KG情報が3月4日に発表した2016年1月度の求人動向データでした。KG情報は、自社の事業地盤である西日本の求人動向データを毎月発表しており、求人情報誌の会社ですので、求人広告掲載件数の増減が業績に影響する重要なデータです。中四国地域の求人広告掲載件数を見ると、競合他社が前月比、前年同月比ともに増加したのに対し、KG情報の掲載件数が減少気味でした。九州地域は比較的堅調でしたが、現状維持は出来ても、増益達成は困難だと思いました。

私の場合は3月にKG情報を売り抜けましたが、4月7日発表の第1四半期決算でも危険に気付くチャンスはありました。KG情報の今期業績予想は、上半期は利益が前期並み、後半の下半期で利益を前期の約2倍に増やすという変則的な予想でしたので、第1四半期が前期並みでも予想通りと割り切る事も出来ます。しかし、減益傾向から増益に反転するはずの会社なのに、第1四半期の決算からKG情報が変わったという勢いを感じられません。前期比で増益とは言え、ここ2年間の四半期業績の平均値に比べ悪かったからです。

通期予想に対する四半期業績の進捗率は、下方修正の危険性を探る上で非常に重要です。KG情報の場合、通期の予想営業利益6億76百万円に対し、第1四半期の営業利益が92百万円しか無いため、第2四半期から第4四半期の残り9ヶ月で5億84百万円の営業利益を稼がないと、通期予想が達成できない訳です。営業利益2億円を達成できた四半期は、2年間で8回中1回しか無いので、業績予想達成は困難と判断出来ました。

この四半期業績の進捗率での判断は、マンションデベロッパーのように、竣工日次第で四半期業績が大幅に増減する業態もありますので、過去の四半期業績の推移を見て、その会社の特徴を確認すると良いでしょう。

求人データと第1四半期の結果で、KG情報の下方修正を予想できたと思いますし、下方修正発表まで株価も堅調だったので売り逃げる事が出来たと思います。本格的な成長株だと、少しでも成長鈍化の懸念が出ただけで叩き売られますので、やはり資産バリュー株は初心者向けだと思います。今回のように、業績データを見ながらチャンスやリスクを探る事を勉強出来ますし、問題に気付いた時でも手遅れになりにくいのです。

現時点でのKG情報は、資産バリュー株としての魅力に変化はありませんし、下方修正したとは言え、前期並みの業績は達成できる見込みです。配当金も減額しましたが、4%以上の配当利回りとなっています。現金を52億円も保有しているので、自社株買いにも期待できます。ただ、第2四半期は減益で、下半期が増益予想なので、また下方修正しないかどうか、求人データや第3四半期の決算を見て判断する必要があります。

資産バリュー株の最大の魅力は純資産に対する株価の割安さであり、悪材料が発生した時に安く買い、配当金を得ながら、悪材料が和らぎ、好材料が出てくるのを気長に待つくらいのスタンスが理想的だと思います。

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執筆者名:DAIBOUCHOU(ツイッター:@DAIBOUCHO )

《TM》

 提供:フィスコ

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