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【特集】ハピネット Research Memo(4):ブロッコリーと新コンテンツ開発、新規顧客層・流通チャネルを開拓


■業績動向

(1) 2016年3月期の業績概要

a)損益状況
ハピネット<7552>の2016年3月期の連結業績は、売上高187,274百万円(前期比13.8%減)、営業利益3,450百万円(同31.8%減)、経常利益3,497百万円(同31.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,359百万円(同41.7%減)となった。大ヒットした「妖怪ウォッチ」に替わるヒット商品がなかったことから主力の玩具事業が減益となったことに加え、アミューズメント事業もリード商材がなかったことから減益となった。映像音楽事業は減収ながらメーカー部門の収益が改善したことから増益となったが、ビデオゲーム事業は在庫評価損の増加により僅かだが損失となった。売上高の低迷により在庫処分金額は2,917百万円(同2,556百万円)へ増加した。

各事業の状況は以下のようであった。(注)セグメント利益は内部消去前

1)玩具事業
セグメント売上高は76,874百万円(前期比17.6%減)、セグメント利益は2,848百万円(同33.4%減)となった。最大の商戦期である年末商戦において前期に比べて大きなヒット商品がなかったことから売上高は前期比で減収となった。一方で損益面では、減収による売上総利益の減少に加えて期末の在庫処分金額が1,800百万円(前期1,600百万円)へ増加したことからセグメント利益は大幅減となった。

2)映像音楽事業
売上高は38,367百万円(前期比11.5%減)、セグメント利益は466百万円(同130.9%増)となった。パッケージ市場全体が低迷するなかで同社の売上高も低調に推移したが、オリジナル商品で得意分野に集中したことから不採算案件が減少し、結果として利益率が改善しセグメント利益は大幅増益となった。

3)ビデオゲーム事業
ソフト配信やスマートフォン向けゲームの普及の影響などによりパッケージ市場全体が低迷するなか、同社でもヒット商品の不足により売上高は50,009百万円(同11.4%減)となった。さらに利益面でもオリジナル作品の不振に加えて在庫の処分金額が500百万円(同300百万円)へ増加したことからセグメント損益は43百万円の損失(前期は254百万円の利益)となった。

なお2015年12月、ブロッコリーが実施する第三者割当増資(4,059百万円)を引き受け、ブロッコリーが持分法適用関連会社となった。同社が有する様々な取引先との流通プラットフォームと最適流通システムを駆使した商品ニーズの把握力や商品提案能力、及びタイムリーで精度の高い物流システムを融合することにより、新コンテンツの開発、新しい顧客層・流通チャネルの開拓を両社共同して推進していくとしている。

4)アミューズメント事業
売上高22,023百万円(前期比8.8%減)、セグメント利益1,652百万円(同8.0%減)となった。移動式を使ったイベント会場での販売など新たな施策を推進したが、玩具自動販売機商材やキッズカードゲーム機商材において前期を上回るヒット商材がなかったことや在庫評価損を計上したことなどから前期比で減収・減益となった。

b)財政状況
2016年3月期末の財政状況は、流動資産は44,905百万円(前期末比7,543百万円減)となったが、主に現金及び預金の減少4,455百万円、受取手形及び売掛金の減少2,782百万円、たな卸資産の減少702百万円などによる。固定資産は11,887百万円(同4,444百万円増)となったが、増加の主な要因はブロッコリーへの出資。その結果、期末の総資産は56,793百万円(同3,099百万円減)となった。

負債は25,438百万円(同4,874百万円減)となったが、主に売上減少による仕入債務の減少1,835百万円、未払金の減少1,217百万円による。また親会社株主に帰属する当期純利益の計上により純資産は31,335百万円(同1,774百万円増)となった。

c)キャッシュフローの状況
2016年3月期のキャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフローは978百万円の収入であったが、主な収入は税金等調整前当期純利益の計上3,538百万円、売上債権の減少2,783百万円などで、一方で主な支出は仕入債務の減少1,832百万円、法人税の支払額1,282百万円などによる。投資活動によるキャッシュフローは4,752百万円の支出であったが、主にブロッコリーへの出資に伴う投資有価証券の取得による支出4,059百万円による。財務活動によるキャッシュフローは677百万円の支出となったが、主に配当金の支払いによる支出679百万円による。

この結果、2016年3月期の現金及び現金同等物は4,455百万円の減少となり、期末残高は11,412百万円(前期末は15,867百万円)となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《HN》

 提供:フィスコ

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