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【特集】GTS Research Memo(7):フィルグラスチムバイオシミラーなどが大幅増収に寄与

ジーンテクノ <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

(1) 2016年3月期の業績概要

5月12日付で発表されたジーンテクノサイエンス<4584>の2016年3月期の業績は、売上高が前期比260.9%増の1,160百万円、営業損失が820百万円(前期は824百万円の損失)、経常損失が785百万円(同790百万円の損失)、当期純損失が787百万円(同792百万円の損失)となった。売上高はバイオシミラー事業において、フィルグラスチムバイオシミラーが前期比3倍増の1,100百万円と予想どおりの売上高を達成したほか、持田製薬(株)との業務提携に伴う契約一時金などが寄与した。また、バイオ新薬事業においては、次世代型抗体医薬品の研究開発を進めているほか、提携先の(株)ジーンデザインと核酸医薬品への展開に向けた取り組みの促進、国立がん研究センターと共同特許出願したエクソソームなどの新規技術の取得にも注力した。また、7月にはダイドードリンコ(株)とのヘルスケア関連事業における協業もスタートしている。

利益面では、研究開発費が前期比385百万円増の1,075百万円となったほか、その他販管費も96百万円増加するなど費用増加があったものの、フィルグラスチムバイオシミラーの増収効果によって、ほぼ前期並みの損失となった。また、会社計画比では営業損失額が225百万円縮小した。これは、開発プロセスの改良などにより、開発費を抑制できたことが要因だ。

(2) 2017年3月期見通し

2017年3月期は、売上高が前期比45.1%増の1,685百万円、営業損失が493百万円、経常損失が494百万円、当期純損失が497百万円を見込んでいる。

バイオシミラー事業については、フィルグラスチムバイオシミラーの売上、開発品目の提携先からの契約一時金や開発マイルストン収益が拡大すると見ているため、今期も増収を想定している。今期に進捗が進む可能性が高いのは、前期に基本合意書を締結した持田製薬(株)との本契約となる。がん治療領域でのバイオシミラーの開発を進めていく計画となっている。また、アダリムマブバイオシミラーについても提携交渉は前進しているようで、契約一時金とマイルストン収益を今期中に見込んでいる。なお、眼科治療領域における千寿製薬(株)との開発プロジェクトについては、今期中に非臨床試験を終え、2017年頃の臨床試験入りを目指している。千寿製薬(株)とは開発マイルストン形式ではなく、資本提携形式での契約であり、既に同社の株式保有をしており、財務基盤の強化に資している。

研究開発費については前期比208百万円増の1,283百万円を計画している。開発プロジェクトにおける生産技術の確立と、非臨床試験の実施等による増加を見込んでいるが、既存のプロジェクトにかかる研究開発費としては今期がピークで、2018年3月期以降は減少していく見込みとなっている。

また、2016年5月に長生バイオと中国におけるバイオシミラーの事業化に向けた基本合意書を締結している。長生バイオはワクチン製剤で中国では5本の指に入る医薬品メーカーで、売上高で200億円、利益で40億円規模の高収益企業となっている。中国でもバイオシミラーのガイドラインが策定され、各社がバイオシミラーの開発にしのぎを削っている状況で、今回、長生バイオも同市場へ参入するために、上市実績のある同社との業務提携にかかる基本契約を締結した。開発品目は当面は1品目のみだが、順調に開発が進めば複数品目に広がる可能性がある。海外市場では初の提携先を獲得したことになり、今後の更なる提携先獲得が期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《TN》

 提供:フィスコ

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