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【通貨】為替週間見通し:ドルは弱含みか、米利上げへの悲観的な見方も

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドル伸び悩み、米利上げ休止観測が上値を抑える

先週のドル・円は伸び悩み。主要7カ国(G7)による金融安定化に向けた取り組みを好感して1日の東京市場で103円39銭まで買われたが、その後は米国の3連休を控えて利益確定とみられるドル売り・円買いが強まった。1日発表の4-6月期の日銀短観(概要)は市場予想を多少上回る内容だったこともドル上昇を抑える一因となったようだ。

市場関係者の間では、欧州連合(EU)からの英国の離脱は世界経済の成長鈍化につながり、この影響で米連邦準備制度理事会(FRB)は年内の利上げを休止するとの見方が広がっている。フィッシャーFRB副議長は米CNBCとのインタビューで、「FRBはBREXIT(EUから英国が離脱すること)より米国の指標を重視すべき」との見方を示したが、米大手投資家は、経済成長の減速によって米国債利回りは今後さらに低下すると指摘しており、ドルの上値を抑える一因となった。取引レンジ:101円41銭-103円39銭。

■ドルは弱含みか、米利上げへの悲観的な見方も

今週のドルは弱含みか。英国の欧州連合(EU)離脱を受けて世界経済の先行きには不透明感が強くなっていることから、リスク選好的な取引は減少する見込み。市場関係者の関心は日米の金融政策に移っている。英国のEU離脱やその後の市場の混乱を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)は今月26-27日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送るとの観測が広がっている。

6月21日と22日に行われた議会証言で、イエレンFRB議長は「金利引き上げを慎重に進める」との見解を表明したが、米国経済については「経済は今後も成長を続けると予想される。消費支出や経済の伸びは力強く回復している」と楽観的な見通しを示していた。イエレンFRB議長の見解を好感して、英国のEU離脱の混乱のなかでも米国株は持ち直し、ドルは下げ渋った。米国株が底堅い動きを見せた場合、ドルの下値をサポートする要因となりそうだ。

ただ、6日発表のFOMC議事録に利上げ継続に消極的な意見が多く含まれていた場合、ドル売りに振れる可能性がある。その場合、心理的な節目である100円を一時的に割り込む可能性があることを想定しておきたい。なお、8日に発表される6月米雇用統計は、7月の利上げ見送りが織り込まれていることから、市場予想に近い数字であれば為替相場に大きな影響を与えないとみられている。

予想レンジ:99円50銭-104円50銭

【連邦公開市場委員会(FOMC)議事録公表】(6日公表予定)
FRBが利上げ見送りを決定した6月14-15日開催のFOMC議事録。タカ派寄りとみられていたセントルイス連銀総裁がFOMC直後の講演でハト派的な見解を示していることから、追加利上げには消極的な意見が相次いだ可能性がある。ただし、年内の利上げ実施が予見される内容だった場合、ドル買い材料になる。

【米6月雇用統計】(8日発表予定)
6月雇用統計では、失業率は4.7%から4.8%に悪化する可能性があるが、非農業部門雇用者数は5月の前月比+3.8万人から6月は+18万人となる見込み。また、平均時給は前月比+0.2%の見通し。7月の利上げ見送りは織り込まれているため、6月の雇用統計が市場予想を多少上回る内容でもドル買い材料にはなりにくい。

《FA》

 提供:フィスコ

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