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【特集】フォーカス Research Memo(7):有利子負債残高は着実に減少

フォーカス <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

(4)財務状態

フォーカスシステムズ<4662>の2016年3月期末の総資産は前期末比596百万円増加し、14,936百万円となった。内訳を見ると、流動資産は現金及び預金が減少(前期末比226百万円減)したものの、売掛金の増加(同909百万円増)等により同699百万円増加した。対照的に、固定資産は土地売却による有形固定資産の減少(同273百万円減)により同103百万円減少した。

負債は同50百万円減少し7,520百万円となった。これは、買掛金の増加(同167百万円増)や未払法人税等の増加(同177百万円増)があったものの短期借入金の減少(同255百万円減)と1年内返済予定の長期借入金の減少(同282百万円減)により流動負債が同77百万円減少したことが主要因。一方、固定負債は長期借入金が減少(同242百万円減)したものの社債が増加(同291百万円増)したことにより同26百万円増加した。純資産は7,415百万円と前期末に比べ646百万円増加した。これは、繰越利益剰余金の増加(同565百万円増)とその他有価証券評価差額金の増加(同81百万円)があったことが主要因。

2016年3月期末の現金及び現金同等物は前期比176百万円減少し2,930百万円となった。営業キャッシュ・フローは、売上債権の増加額875百万円、法人税等の支払額287百万円のマイナスがあったものの、税引前当期純利益1,184百万円等があったことから、42百万円の収入となった。また、投資キャッシュ・フローは有形固定資産の売却272百万円の収入があったことから、293百万円の収入となった。一方、財務キャッシュ・フローは512百万円の支出となった。これは、社債発行による収入789百万円があったものの、長期借入金返済による支出1,274百万円、配当金の支払額172百万円等があったためだ。

主力業務のシステム開発に関しては売上計上時期が9月末と3月末の年2回というプロジェクトが多いのに対して、ビジネスパートナーに支払う外注費は1ヶ月単位であるため、常に運転資金を調達する必要がある構造となっている。過去の業績悪化も加わり、2004年3月末時点の有利子負債残高は7,710百万円に達し、有利子負債比率は153.7%、自己資本比率は33.4%と、無借金経営で財務状態が良好な企業が多いITサービス企業の中で財務状態の悪さが目立つ企業であった。

代表取締役社長の森啓一(もりけいいち)氏の下で「純有利子負債(ネットデット、有利子負債から現金・預金を差し引いたもの)を「ゼロに!」」を目標に財務健全化に取り組んできたが、足元の業績改善も手伝って2016年3月末時点で純有利子負債残高は802百万円まで縮小。有利子負債比率は53.9%、自己資本比率は49.6%へそれぞれ改善している。一方、収益性を表す指標も自己資本利益率が2016年3月期には10.4%になるなど、改善が進む結果となっている。

2017年3月期については、人材教育投資による減益予算で一時的に経営指標が悪化すると予想されるが、中期的な収益成長の原動力であるため、懸念する必要はないと考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )

《HN》

 提供:フィスコ

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