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【経済】NYの視点:【6/21IMM】円買い持ち減少、今週の注目:イエレン議長、ドラギ総裁、カーニー総裁の講演


今週も英国の欧州連合(EU)離脱を消化する相場が継続すると見る。週末には、ドイツ、オランダ、フランス、イタリア、べルギー、ルクセンブルグの外相が英国の欧州連合(EU)離脱の影響をベルリンで協議する。また、27日から3日間にわたり、欧州中央銀行(ECB)がフォーラムをポルトガルで開催、イエレンFRB議長、カーニー英中央銀行総裁が講演を予定しており、英国のEU離脱を受けた経済見通し、今後の金融政策のヒントを探る。また、26日にはスペインは選挙を予定しておりその結果にも注目が集まる。

今まで、欧州連合(EU)の中で離脱を選択した国はない。英国はEUからの脱退を定めたリスボン条約50条に基づき、EU理事会に速やかに脱退を通告。通告後、英国のEU脱退協定と新協定への数多くの交渉が開始。キャメロン首相は10月まで現職に留まる。残留を訴えていたキャメロン首相は辞任をすでに表明。次期首相には欧州連合(EU)離脱を支持していた前ロンドン市長ボリス・ジョンソン氏が有力と見られている。新首相のもと、移行に向けて、貿易、財政、難民、関税や金融規制などの新協定が決定されることになる。

EUとの交渉は2年間が目安とされており、交渉期間中はEU法適用が維持される。その後、実施などに猶予期間が与えられる模様。移行にかかる2-3年間、多くの不透明感がくすぶることになり、まさに未知の領域に入る。このためポンドの下落も継続か。最終的にERM(欧州為替相場メカニズム)を離脱することになった1992年のポンド危機時もポンド安がしばらく続いた。

英国だけでなく世界でみても政治的環境が大幅に変わる。欧州連合(EU)の存続危機も広がっている。EUが組織として不完全さを露呈した格好であり、、懐疑的な見方は払拭できない。英国の離脱を受けて、欧州各国の離脱運動が強まり、ドミノ離脱の可能性が警戒されている。来年に総選挙を控えているフランスでも、フランス国民戦線が離脱に向けた国民投票実施を訴えた。オランダも極右政党、自由党のヘルト・ウィルダース党首は24日、欧州連合(EU)の是非を問う国民投票の実施を訴えた。フィンランド、イタリアでも国民投票の可能性が指摘されている。また、スコットランドは再び独立に向けた国民投票を実施すると見られている。このためユーロの下落基調も変わらずか。

英国のEU離脱を受けて今後予想されることは、まず、1)欧州や英国の経済成長が悪化する。2)すでに大規模な緩和策を実施している欧州中央銀行(ECB)はさらなる緩和策の導入が避けられないとの見方。3)また、次の行動は利上げと見られていた英国中銀も利下げ、量的緩和の拡大の可能性が指摘されている。4)FOMC連邦公開市場委員会も年内の利上げが困難になると見られている。金利先物市場では利下げを織り込み始めた。JPモルガン銀は米国の4-6月期GDP見通しを2%成長へ、2.5%成長から下方修正。次の利上げ時期を当初の9月から12月に先送りした。5)また、格付け会社フィッチなどは格付けを見直す方針を示した。英国の格下げは避けられないとの見方。

英国中銀や欧州中央銀行(ECB)は声明の中で、流動性を供給する準備があると発表。ただ、残留支持をほのめかした英中銀のカーニー総裁の進退にも注目が集まる。G7財務相も協議後、声明を発表し、「市場の動向や安定度を綿密に監視し、適切に協調していく」方針を示した。


■今週の主なイベント

●欧州
25日:ドイツ、オランダ、フランス、イタリア、べルギー、ルクセンブルグの外相が英国の欧州連合(EU)離脱の影響をベルリンで協議
26日:スペイン選挙、BIS年報を公表
27日:欧州中央銀行(ECB)が3日間にわたるフォーラムをポルトガルで開催、イエレンFRB議長、カーニー英中央銀行総裁が講演、メルケル独首相はトゥスクEU大統領と英国のEU離脱計画に関する協議、その後、オランド仏大統領、レンツィ伊首相と3者会談後、共同記者会見
28?29日:欧州連合(EU)首脳会談、英国のEU離脱を協議

●米国
28日:1?3月期国内総生産(GDP)確定値:予想前期比年率+1.0%(改定値+0.8%)
29日:米連邦準備制度理事会(FRB)、ストレステストの第2次結果を発表、5月PCEコア:前年比+1.6%(4月+1.6%)
30日:ブラード・セントルイス連銀総裁がロンドンで講演
7月
1日:米・6月ISM製造業:予想51.5(5月51.3)

●地政学的リスク
ウクライナ紛争
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン


【IMM】

ネット・円買い持ち:+52,296(6/21)←円買い持ち:+55,690(6/14)(直近ネット円買い持ち最高水準:08年3/25+65,920、04年2/6+64499)(過去最高ネット円売り持ち高:07年6/26-188,077)

*ユーロ
ネット・ユーロ売り持ち:- 61,346(6/21)←ユーロ売り持ち:- 56,489(6/14)(07年5/15:+119,538過去最高買い持ち高、10年2/9-57,152過去最高の売り持ち高)

*ポンド
ネット・ポンド売り持ち:- 51,947(6/21)←ポンド売り持ち:- 36,661(6/14)(07年7/22:直近ネット買い持ち高最高水準+98,366)

*スイスフラン
ネット・スイスフラン買い持ち:+ 6,381(6/21)←スイスフラン売り持ち:+7,130(6/14)(過去最高スイスフランネット売り持ち高:07年6/19:-79,331)

*加ドル
ネット・加ドル買い持ち:+2,595(6/21)←加ドル買い持ち:+18,440(6/14)(直近ネット買い持ち高最高水準:07年10/12+83001)

*豪ドル
ネット・豪ドル買い持ち: ‐7043(6/21)←豪ドル売り持ち:‐6812(6/14)

《NO》

 提供:フィスコ

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