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【特集】アジア投資 Research Memo(12):損失処理の一巡と好調な海外ファンドの収益寄与により最終黒字化を実現

アジア投資 <日足> 「株探」多機能チャートより

■決算動向

(1)2016年3月期決算の概要

日本アジア投資<8518>の2016年3月期の業績(ファンド連結基準)は、営業収益が前期比33.7%減の4,596百万円、営業損失が123百万円(前期は533百万円の利益)、経常利益が前期比13.8%減の335百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が707百万円(前期は731百万円の損失)と減収になったものの、総合的な収益力を示す当期純損益は黒字転換を達成した。

また、従来連結基準でも、営業収益が前期比10.8%減の4,043百万円、営業利益が82百万円(前期は550百万円の損失)、経常利益が612百万円(同610百万円の損失)、当期純利益が597百万円(同850百万円の損失)と減収になったものの、すべての利益段階(営業利益以下)で大幅な増益、及び黒字転換を実現しており、同社業績は順調に回復したと言えるだろう。

従来連結基準による業績の概要は以下のとおりである。

IPOを8社(前期は5社)実現するとともに、IPO以外での未上場企業の売却(M&A等)や既上場株式の売却を進めたことにより一定の売却高を確保したものの、比較的小規模の売却案件が多かったことから営業収益は減収となった。

一方、営業総利益が大きく増益となったのは、投資損益の大幅な改善によるものである。実現キャピタルゲインは売却高の減少に伴い減益となったものの、前期業績の足を引っ張った多額の「営業投資有価証券評価損」(投資先の経営破たんによる特殊要因)※の影響が解消されたことが損益改善に大きく寄与した。また、メガソーラー事業における売電収入(「組合持分利益等」に含まれる)も約1億円の利益貢献があった。

※2015年3月期は、経営破たんした(株)白元に対し評価損839百万円を計上した

営業利益も、販管費が一過性の特殊要因(他社運営ファンド向け支払成功報酬209百万円)により僅かに増加したものの、前述した投資損益の大幅な改善等により黒字に転換した。

なお、経常利益が、とりわけ大きく増益となっているのは、主に投資有価証券に該当する海外ファンドから受領した受取配当金700百万円が営業外収益に計上されたものである。

従って、総合的な収益力を示す当期純損益が大幅な増益により黒字転換したのは、損失処理の一巡と海外ファンドの収益寄与によるものと総括することができる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《TN》

 提供:フィスコ

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