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【特集】ダイナムジャパンHD Research Memo(2):スマホの出現で余暇時間をパチンコで消費する層が減少


■パチンコホール業界の現況

ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>の全国のパチンコ・パチスロ店の店舗数は、2015年12月31日現在で11,310店となり、1年前から317店(2.7%)減少した。1995年末の18,244店から見ると38.0%の減少であり、1995年末を起点として2015年末までの20年間の年平均減少率は2.4%となっている。

店舗数の減少と歩調を合わせて、パチンコ市場規模も縮小トレンドにある。パチンコホールのグロスの売上高に相当する貸玉収入の総額は、2014年は24兆5,040億円だった。1995年との比較では20.7%の減少、ピークの2005年との比較では29.7%の減少となっている。

こうしたパチンコホール市場の縮小の背景には、パチンコ参加人口の減少がある。2014年のパチンコ参加人口は1,150万人で、前年からは18.6%増と増加に転じたものの、1995年との比較では60.3%減と、売上高や店舗数の減少ペースを大きく上回っており、その間の年平均減少率は4.8%に達している。売上高減少ペースと参加人口減少ペースのギャップからは、昔からのコアなパチンコファンがより多くの金額をパチンコで消費するようになった一方で、新たなパチンコ参加者が若手を中心に増えていないのみならず、ライトユーザー層がパチンコをやめてしまったという状況が見えてくる。

参加人口の減少の要因は時代によっても異なるが、ここ数年はスマートフォンの出現の影響が大きいとみられる。スマートフォンの出現で余暇時間をパチンコで消費していた層がパチンコに行かなくなったということだ。また、若年層を主体とした新規パチンコファンの獲得においても、スマートフォンは強力なライバルとなっていると考えられる。

経済情勢や規制もまた、パチンコホール市場にとって逆風要因となっている。2014年4月の消費税率引き上げ(従来の5%から8%へ)では、夏場から急速に客足が落ち、それをカバーするために出玉率(客に対する還元率。貸玉収入に対する景品出庫額の割合)を引き下げて(店舗側から見れば粗利益率の引き上げ)、店側の利益確保を優先させる動きが強まった。これがさらに客足を遠のかせ、業界は負のスパイラルへと陥った。また、2015年秋以降は高射幸性機に対する規制が強化され、これも客足に対してはマイナス影響を及ぼすと懸念されている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《YF》

 提供:フィスコ

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