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【通貨】為替週間見通し:ドルは弱含みか、日米の金融政策据え置きで失望感も

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■米追加利上げ先送り観測と英国のEU離脱懸念でドルは上げ渋る

先週のドル・円は上げ渋る展開となった。5月米雇用統計の悪化を受けて米6月追加利上げの可能性はほぼ消滅し、リスク選好的なドル買い・円売りは後退した。また、英国が欧州連合(EU)から離脱するとの懸念がやや高まったこともドル上昇を抑える要因となった。

イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は6日に講演を行い「条件が合えば緩やかな利上げが適切になる可能性がある」との見解を表明し、ドルは107円90銭まで戻す場面があった。しかしながら、日本の1-3月期国内総生産(GDP)二次速報値が上方修正されたことによって日本銀行による6月追加緩和観測は後退し、ドルの買い戻しは一服した。

その後は、欧州連合(EU)からの英国離脱に対する市場の警戒感が高まり、英ポンドやユーロに対するリスク回避的な円買いが増えた関係でドル売り・円買いが優勢となった。10日の欧米市場で主要国の株式相場が総じて下落したこともドルの上値を抑える一因となった。ドル・円は106円97銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:106円26銭-107円90銭。

■ドルは弱含みか、日米の金融政策据え置きで失望感も

今週のドル・円は弱含みか。米連邦準備理事会(FRB)と日本銀行の金融政策が焦点となりそうだ。市場関係者の多くは日米の金融政策は現状維持と予想しているが、米政策金利の据え置きが決まった場合、景気回復の遅れに対する失望感が広がり、ややドル安・円高方向に振れそうだ。

原油先物相場はやや不安定な動きを見せていることや、英国の欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票を来週23日に控えていることも、ドル上昇を抑える要因になるとみられる。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)会合】(14-15日開催予定)
FRBは14-15日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催するが、米5月雇用統計の悪化などを考慮して、今回も追加利上げを見送る見通し。早期追加利上げに対する市場の期待が後退した場合、市場コンセンサスである年2回の引き締め(利上げ)ペースが鈍化する可能性があることから、ドル売りが強まる可能性がある。

【日本銀行金融政策決定会合】(15-16日開催予定)
日本銀行は15-16日開催する金融政策決定会合で、追加金融緩和を見送る公算。1-3月期国内総生産(GDP)二次速報値は一次速報値+1.7%から+1.9%へ上方修正されており、一段の追加金融緩和への期待はやや後退している。日米の金融政策が現状維持となった場合、円高方向に振れやすい地合いとなりそうだが、米国は7月に追加利上げを実施する可能性は残されており、リスク回避的な円買いが大きく広がる状況にはならないとみられる。

予想レンジ:104円00銭-109円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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