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【特集】ユニリタ Research Memo(1):進行中の中計では売上高100億円、ROE14%を目指す

ユニリタ <日足> 「株探」多機能チャートより

ユニリタ<3800>は、金融や製造を始め、幅広い業種向けに基幹業務システムの運用管理を行うパッケージソフトウェアの開発、販売、サービスを主力とするほか、データ活用によるソリューション提供にも注力している。2015年4月に連結子会社の(株)ビーコン インフォメーション テクノロジー(以下、ビーコンIT)を吸収合併するとともに、社名を「(株)ビーエスピー(BSP)」から「(株)ユニリタ」に変更した。成長領域であるデータ活用分野に強みを持つビーコンITとの経営資源の統合を図ることで、環境変化に対応するための事業構造変革を早期に進めるところに狙いがある。これまで同社の業績を支えてきた既存事業(システム運用の自動化、効率化の推進により顧客の生産性向上に貢献する領域)とビーコンITの事業(データ活用により顧客の企業価値向上に直接貢献する領域)とのシナジー創出により新たな成長ステージに入ってきた。

同社は、前期(2016年3月期)より3ヶ年の「第2 次中期経営計画」を推進している。「パッケージソフトウェアメーカーとしての製品開発力並びにサービス力の強化」「お客様の経営課題解決に必要とされるITスキルの強化」「新・企業文化創り」の3つを基本方針に掲げ、経営資源を成長領域に大きくシフト(IT技術の入れ替え)することにより、最終年度の2018年3月期には、売上高10,000百万円(3年間の平均成長率12.8%)、経常利益2,400百万円(経常利益率24.0%)、ROE14.0%を目指す内容となっている。

ただ、2016年3月期の業績は、売上高が前期比1.0%増の7,198百万円、営業利益が同5.5%増の1,531百万円と緩やかな伸びにとどまり、売上高は期初予想を下回る結果となった(利益では期初予想を上回った)。「メインフレーム事業」の縮小は想定の範囲内であったが、「データ活用事業」及び「システム運用事業」における既存事業が、クラウド活用やデータ活用ニーズに合致した付加価値サービスの開発並びに製品群の戦略的入れ替え等により好調に推移した一方、新営業体制の運用において計画どおりの成果が出せなかったことや新規・成長事業分野の立ち上がりの遅れが売上高の未達要因となった。

2017年3月期の業績予想について同社は、売上高を前期比13.9%増の8,200百万円、営業利益を同16.2%増の1,780百万円と2ケタの増収増益を見込んでいる。1)新規の顧客開拓の推進、2)付加価値追求視点からの技術者シフト、3)グループ内インキュベーション事業及び子会社事業拡大への投資の3つを重点施策に挙げ、特に「データ活用事業」及び「システム運用事業」における既存事業が引き続き大きく伸長する想定となっている。また、新規・成長事業分野も前期比1.5倍の伸びを見込んでいる。

弊社では、顧客ニーズを捉えた既存事業が好調であることに加えて、立ち上がりに時間を要している新規・成長事業分野においても人材のシフト(IT技術の入れ替え)による効果が徐々に現われてくることを勘案して、同社の業績予想の達成は可能であると判断している。むしろ、来期以降の成長加速(中期経営計画の達成)に向けた取り組みや具体的な進捗に注目している。特に、潤沢な手元流動性を含め、強固な財務基盤を活かした投資戦略(M&Aを含む)の方向性が成長への大きなカギを握るものとみている。

■Check Point
・クラウドサービスやデータ活用等の成長分野に投資
・今後の成長に向けたIT技術の入れ替えは順調に進展
・IT活用の注目領域はビックデータ、クラウド、セキュリティ等が主流

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《YF》

 提供:フィスコ

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