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【特集】大谷正之氏【米雇用統計ショック! 乗り切れるか波乱相場】(3) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 注目された米5月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数の伸びが3万8000人増と、15万5000人前後の増加を見込んでいた大方の予測を大幅に下回った。これを受け米6月の利上げは見送られる可能性が高まり、ドル円相場は急速に円高に振れたことで東京株式市場は再びリスクオフの波にさらされる格好となった。米国経済の実態と金融政策の見通し、さらに為替相場の動向を絡め、日本株市場の今後を市場関係者はどう見ているのか。識者の見解をまとめた。

●「物色対象は内需系の消費関連銘柄に」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 前週末3日に発表された米5月雇用統計の非農業部門の雇用者数が前月比3万8000人増と、市場予想の15万5000人程度の増加を大幅に下回ったことから、外国為替市場で円高・ドル安が急速に進行した。これを受けて、6日の東京株式市場は採算の悪化を懸念して、輸出関連の主力銘柄を中心に売りが優勢となった。

 市場関係者は、現地6日に予定されている米連邦準備制度理事会(FRB)イエレン議長の講演の内容を注視している。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げは遠のいたが、7月以降のスタンスに関心が集まっている。日銀の金融政策決定会合も、参院選の本格化もあり、追加金融緩和の可能性は限定的となりそうだ。今週は週末の株価指数先物・オプションのSQ(特別清算値)算出を控えて、波乱展開も予想される。さらに、英国の欧州連合(EU)離脱問題や、中国人民元の波乱も懸念材料となっている。

 米国の利上げスタンスの動向が今後の東京株式市場を左右することになるが、当面の日経平均株価の下値は、1万6000円水準で下値固めとなりそうだ。上値の目標は4月高値の1万7613円で、この水準を突破してくれば1万8000円台回復も期待できそうだ。

 物色対象は、円高によるマイナス影響を受けにくい内需系の消費関連。個別銘柄では、ドラッグストアと調剤薬局を全国展開しているほか、西日本を中心にディスカウントストアも運営しているサンドラッグ <9989> に注目。新規出店を加速させると同時に食品など業態の多様化にも積極的に取り組んでいる。さらに、ニトリホールディングス <9843> も見逃せない。商品デザインの改善や価格帯の拡充(中価格帯強化)による客数増が奏功し、粗利益の改善が期待される。5月度(4月21日-5月20日)国内売上高を発表し、既存店売上高は前年同月比7.0%増と6カ月連続で前年実績を上回るなど好調な推移となっている。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。


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