市場ニュース

戻る
 

【特集】高橋春樹氏【流れ変わるか、政策期待の6月相場】(1) <相場観特集>

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品副本部長)

 伊勢志摩サミットという重要な政治スケジュールを通過し、足もとは円安進行が強い味方となって日経平均株価は1万7000円大台回復を果たした。「セル・イン・メイ」が警戒された5月相場だったが、振り返れば大型連休中の急落から順調な立ち直りをみせ、3カ月連続となる月足陽線が濃厚となった。では、7月の参院選を前に政策期待が盛り上がりそうな6月相場はどうなるか。第一線で活躍する市場関係者に話を聞いた。

●「政策の3点セットを評価し1万8000円回復も」

高橋春樹氏(三木証券 執行役員 商品副本部長)

 日経平均が、終値で4月27日以来約1カ月ぶりに1万7000円台を回復してきた。このところの全体相場の上昇は、これから打ち出される複数の政策を先取りして織り込んでいるようだ。

 消費増税の再延期については、既に多くの部分を株価に織り込んでおり、今後は補正予算など財政出動の規模や、日銀の追加金融緩和の内容に関心が向けられる。また、米国の今後の利上げについても、具体的な実施時期や年内の回数などに注目が集まりそうだ。消費増税再延期、財政出動、日銀の追加金融緩和の3点セットを上手に打ち出すことができれば、日経平均は6~7月にかけて1万8000円程度まで上昇する可能性がある。

 米国の利上げペースが早まるとの観測が浮上すれば、1ドル=114円水準まで円安・ドル高が進行する可能性もある。このところ、東証1部の売買代金が連日2兆円を大きく割り込む極端な薄商いが続いており、背景には外国人投資家の手控え姿勢がある。今後、米国が利上げを実施しているにもかかわらず順調な経済成長が維持され、健全なドル高進行の認識が広まれば、外国人投資家の日本株買いのきっかけとなりそうだ。

 個別銘柄では、価格比較サイトを運営するカカクコム <2371> に注目。高い成長性を継続的に堅持している点と、株価面での波乱要素が少ない点を評価したい。江崎グリコ <2206> は中国を中心に菓子、冷菓、乳製品などの海外売上高が順調な伸びをみせている。キヤノン <7751> の配当利回りは4.7%台と5%近い高水準にあり、今後は監視カメラや医療関連機器の成長も見込め、中期的な視野で注目したい。通所介護など在宅介護が主力のツクイ <2398> は、17年3月期の連結営業利益が前期比42.7%増と高い成長を見込んでいる。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たかはし・はるき)
1977年岡山大学法文学部卒業・第一証券入社。1999年第一証券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均