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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「期待通りに動くとは限らず」

株式評論家 富田隆弥

◆サクラが満開となり、4月新年度相場が始まった。経験則から「4月は上がる月」として楽観を唱える関係者は少なくない。新年度に伴うニューマネー流入やサミット前の緊急経済対策なども指摘されている。だが、新年に期待を膨らませた1月に裏切られた如く、期待と相場が一致するとは限らない。チャートは三角保ち合いを煮詰める膠着状態だけに、まず4月はもみ合いからの放れに従うべきだろう。

NYダウは3月30日1万7790ドルまで上げ、年初来高値を更新。イエレンFRB議長が29日講演で再びマジック(利上げ慎重姿勢)を披露し、投資家に安心感を与えた。原油(WTI)が落ちついており、日本株も“花満開”となっておかしくないところだが、いまのところパッとしない。為替の「ドル安円高」を嫌気しているほか、止まらぬ外国人売りも懸念と言える。

◆29日から4月新年度商いに入った日経平均株価。29日は配当落ち(130円程)をほぼ埋めたが、31日は120円安と続落して1万6758円で安値引け。年度末に伴うドレッシング期待とは裏腹に、ポジション調整売りに押されてしまい、お化粧が剥がれて素肌をむき出しにしてしまった恰好だ。だが、ポジション調整売りであればすぐ買い戻しの動きが出て相場は反発しよう。サイコロも3勝9敗(25%)と底値にきた。日足は25日移動平均線(1万6803円)近辺にあり、25日線と75日線(1万7236円)に挟まれたもみ合いが続いている。一目均衡表は「雲」(1万6096~1万7367円)の中にあり、まだ方向感は出ていない(編集部注:本稿は3月31日執筆)。

◆結局、3月後半の日本株は結局1万7000円前後でもみ合った。年度末でもあり年金によるPKO(PLO)や配当狙いの買いが入ったものの、外国人売りが止まらず上値を抑える構図になった。3月25日現在の投資主体別動向(現物)で、信託銀行(年金)は18週連続で買い越しだが、片や外国人は12週連続の売り越し。この外国人は今年1月から売り越し続け、その金額は計5兆円に達する。

◆膨大な売りだが、アベノミクス当初の2013年は15兆円以上買い越しており(14年+8527億円、15年-2510億円)、5兆円で「売り尽くした」とは到底言えない。資産運用会社のブラックロックは「米国株を引き上げ、日本株を引き下げ」という投資判断を発表したが、ここにきての日米の動きはこの投資判断と合致しており、下放れリスクへの注意も必要だ。

◆日経平均は2月安値からの抵抗線をすでに割り込んでいる。3月14日高値1万7291円も抜けずに苦労している。そして、景気や金利、原油や為替、地政学リスクなどマーケットを取り巻く環境が依然慌ただしいのは前回指摘の如く。日経平均が雲を上抜く1万7400円以上になるなら上放れとして「買い」で対応すればよい。しかし、期待を裏切り「1万6600円」を付けるなら下放れとして慎重に対応すべきだろう。4月相場は、まずこの上下のポイントをしっかりチェックして行きたい。

(3月31日 記、毎週土曜日10時に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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