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【経済】NYの視点:米FOMCの中立派2メンバー、早くて4月追加利上げも除外せず


米サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁はマーケット・ニュース・インターナショナル(MNI)とのインタビューで、国際状況が改善した場合、4月または6月の追加利上げの可能性も十分あり得るとの見解を示した。同総裁はFRBの利上げ軌道に変化はないと確認。米国経済が世界経済の悪化などの逆風に対して回復力があり、米国の強い指標が続けば、追加利上げに踏み切ることになるとの見方。さらに、米アトランタ連銀のロックハート総裁も米国経済に関する講演で、「早くて4月の追加利上げが正当化される」との見解を示し、「FRBは依然、緩やかな利上げ軌道にある」と再確認した。FRBは責務目標の1つである完全雇用により近づいたこと、また、最近の指標が2016年後半にインフレが上昇することを示唆していると説明した。雇用は2016年を通じて拡大を継続、消費も健全なペースで拡大していると指摘。

また、米リッチモンド連銀のラッカー総裁はフランスパリでの講演で、FRBが物価目標としている個人消費支出(PCE)に関して1月は近年にない想定以上の伸びを見せたとの見解を示した。原油安やドル相場が落ち着けば「コアCPIは2017年に2%へ上昇する」とみている。同総裁は2016年のFOMC投票権を持たず、タカ派として知られる。

米連邦準備制度理事会(FRB)は3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で予想外に金利予測を引き下げた。国内経済やインフレの進展にもかかわらず、3月FOMC声明ではFOMCがドルや金融の動向に非常に神経質となっていることが表明された。イエレンFRB議長は「国内経済の強さ」ではなく、「世界経済の鈍化が我々の見通しに影響を与えた」ことを強調した。このため、この会合で6月FOMCでの追加利上げの基盤が築かれると見ていた市場関係者は「FOMCが利上げ軌道を修正した」との見通しを強めた。

カンサスシティ連銀のジョージ総裁のようにタカ派ではなく、比較的中立派として知られている米サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁や米アトランタ連銀のロックハート総裁、2名のメンバーがFRBが4月の追加利上げの可能性や、依然として年内の利上げの軌道に変化がないことを表明したことは、重要視されている。特にウィリアムズ総裁は、前任のイエレンFRB議長がサンフランシスコ総裁であった際、リサーチチームのチーフを務めており、見解も近いと見られている。

しかし、両者は2016年の投票権を有さない。FRBへの信用性が弱まったと非難する意見もある。一部では、2月末に中国・上海で行われたG20財務相・中央銀行総裁会議で何らかの協調行動が約束された可能性があるとの思惑も根強い。G20によるドル安誘導である場合、FRBが従来予測されていたペースでの利上げはやはり困難との見方は払拭しない。

《NO》

 提供:フィスコ

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