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【特集】檜和田浩昭氏【暗雲振り払えるか、新年度相場!】(3) <相場観特集>

檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)

 3月も中旬を過ぎ、東京株式市場もいよいよ期末の着地点を意識する展開となってきた。同時に4月から始まる新年度相場の行方にマーケットの思惑が錯綜する。金融や財政などアベノミクスへの政策期待も絡め投資家の興味は17年3月期の企業業績に向かう。外国人投資家の売り攻勢や足もと激しく動く為替動向を横目に、方向感が定まらない株式市場の新年度の足取りはどうなるのか、市場第一線で活躍する関係者に聞いた。

●「5月大型連休までに1万8000円への戻りも」

檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)

 外国為替市場では1ドル=110円台後半まで円高・ドル安が進行している。過去、日本市場の3連休に円高が進行したケースも多く注意が必要だ。ただ、現状以上に円高・ドル安が進行した場合、介入思惑が浮上し円を買い進み難い状態も考えられる。ただ、現状の円相場を踏まえると、17年3月期の各企業の業績予想は輸出関連を中心に保守的にならざるを得ず、1株利益(EPS)拡大シナリオが描きにくくなる。

 したがって、輸出関連の業種は当面見送られる可能性が強い。物色対象としては、内需系で、財政出動の後押しも想定される建設セクターをはじめ、訪日外国人の継続拡大によるインバウンド関連、さらに人工知能、自動運転といったテーマ株に注目している。

 東証の公表した3月第2週(7~11日)の外国人投資家の売り越し額が1兆1932億円と過去最大に膨らんだ。この金額自体は憂慮すべきことだが、それよりもこれだけ巨額な外国人の売り越しがあったにもかかわらず、日経平均株価がほとんど下がらずに売りを吸収した点に驚かされる。米株式相場は、利上げペースの鈍化や原油価格の戻り歩調などを背景に堅調な推移を続けている。こうした自国市場の好調を背景に、出遅れが鮮明になってきた日本株に外国人買いが復活する可能性もある。

 今後は、伊勢志摩サミット、参院選と政治的なイベントに関連して財政出動を含めた政策が打ち出される可能性が高まるのに加え、長期的な企業価値の増大に向けた企業経営姿勢の強化の流れに伴う自社株買い、増配、ROE(株主資本利益率)などを手掛かり材料に全体相場が堅調に推移する可能性もある。今後、5月の大型連休前後までの株価は、日経平均株価で1万6000~1万8000円程度を想定している。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)
1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店にて個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長を経て2015年11月から現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。


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