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【経済】NYの視点:米労働市場にも依然改善の余地


米労働省が発表した1月JOLT(求人労働移動調査)求人件数は554.1万件と、過去最高を記録した昨年7月来で最高となった。同統計はイエレンFRB議長が労働市場のたるみ具合を調べる上で特に注視している指標のひとつ。

1月の求人率(Job openings rate)は3.7%と前回12月の3.6%から上昇し、金融危機前の水準3.0%を大きく上回った。1月採用率(Hires rate)も3.5%と12月の3.8%から低下したものの金融危機前の水準である3.8%付近を維持。また、JOLT指数の項目の中でも、イエレンFRB議長が最も注目している1月退職率(Quits rate)も2.0%と、12月の2.2%から低下したものの、金融危機前の水準2.1%近辺を維持していることは労働市場のたるみがより解消された証拠となる。

一方、2月広義の失業率(U-6)は9.7%と1月9.9%から低下したものの、金融危機前の水準8.8%を依然として大幅に上回ったまま。バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長が懸念材料としていた長期の失業率も依然として全体の4割を占め、金融危機前の水準からは程遠い。

イエレンFRB議長は、連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見において、失業率は目標である完全雇用の水準にほぼ達したと見ており、労働市場が一段と改善したとの見方を示した。しかし、賃金の伸びが予想以下にとどまっていることは労働市場のたるみの存続を示すと慎重な見通しを維持。労働市場にはまだ改善の余地があるとの見方を示した。米連邦公開市場委員会(FOMC)が予想外に景気に慎重な見通しを示したため、ドルの売り戻しに拍車がかかった。


■イエレンFRB議長の雇用たるみダッシュボード

◎危機前に比べ状態が改善 危機前の水準と比較
1月解雇率(Layoffs/discharges rate):1.2%(前回1.2%) 1.4%(下回る)
2月雇用者数(Nonfirm payrolls):24.2万人 16.18万人(上回る)
2月失業率(Unemploynent rate):4.9% 5.0%(上回る)
1月求人率(Job openings rate):3.7%(前回3.6%) 3.0%(上回る)

◎状態が危機前より依然悪い
1月退職率(Quits rate):2.0%(前回2.2%) 2.1%(下回る)
2月広義の失業率(U-6):9.7%(1月9.9%) 8.8%(上回る)
1月採用率(Hires rate):3.5%(前回3.8%) 3.8%(下回る)
2月長期失業率:42.1%(前回41.6%) 19.1%(上回る)
2月労働参加率:62.9% 66.1%(下回る)

《NO》

 提供:フィスコ

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