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【経済】NYの視点:3月FOMCは6月追加利上げの下準備か


米連邦準備制度理事会(FRB)は15-16日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。この会合では政策金利となるFF金利誘導目標を0.25-0.50%レンジに据え置くと見られているが、6月の追加利上げへの地ならしをする可能性がある。年内の利上げ軌道を探る上で四半期ごとに発表されるスタッフ見通しや、イエレンFRB議長の会見に注目が集まる。スタッフは12月時点で2016年の4回の利上げを予想していたが、下方修正される可能性が強い。しかし、市場はほぼ織り込み済みとみる。

2015年に比べて若干タカ派的となったFOMCメンバーにより初めて開催された1月FOMCでは、「経済は緩やかな利上げに限り正当化すると予想する」とし、引き続き利上げの軌道にあることを再確認した。労働市場も「一段と改善」との判断を示した。しかし、思いがけず見舞われたチャイナショック、世界経済の鈍化、新興諸国の混乱、原油価格の一段の下落を考慮し、「世界経済や金融市場の展開を綿密に監視し、労働市場やインフレ、見通しリスクの均衡への影響を見直していく」との文言を加えた。景気判断も前回の「経済は緩やかなペースで拡大している」との文言から「2015年末に成長は鈍化した」へ修正。輸出の鈍化に加え、在庫も一段と鈍化したと加えた。インフレ期待に関しても、前回の市場ベースのインフレ期待は「依然低い」から「一段と低下」に修正した。見通しリスクに関する文言、「経済や労働市場活動の見通しリスクは均衡している」が削除され、「下方リスクがより鮮明になったことを示唆している」との見方も強まった。「インフレが目標値に向けて上昇する理にかなった自信がある」との文言も削除されており、年内の利上げペースに関してはより不透明感がひろがった。

1月会合時に比べて状況は改善した。原油相場は底入れ感が強まり価格が下げ止まったこと、雇用統計は労働市場が依然順調に拡大していることを示した。一時強まった景気後退(リセッション)警戒感も後退。利上げを決定した10-12月期の国内総生産(GDP)の成長率はわずか0.9%にとどまつたが、1-3月期には2%以上の成長が予想されている。市場では当初、FOMCが年内の追加利上げを見送るとの見通しが強まっていたが、最近の良好な経済指標や、賃金、インフレ率が上昇する兆しを見て、年内の追加利上げ観測が再燃。金利先物市場での6月の利上げ確率は50%を若干上回る。米FRBが3月FOMCで6月の追加利上げの下準備をし、ドルの下値が支えられる可能性がある。

《NO》

 提供:フィスコ

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