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【特集】ヘリオス Research Memo(2):2015年6月に東証マザーズに上場


■会社概要

(1)会社沿革

ヘリオス<4593>は2011年に現代表取締役社長の鍵本忠尚(かぎもとただひさ)氏らによって設立されたiPS細胞を用いた再生医療製品を開発するバイオベンチャーである。鍵本氏は眼科医であったが、根治療法がない加齢黄斑変性を治したいという想いで、創薬ベンチャーであるアキュメン株式会社を設立。その後、日本発の技術を基にした新しい眼科手術補助剤「BBG」の開発に成功し、欧州においてサブライセンス先を通じた販売を行うなどの実績を挙げた。この実績をきっかけとして、理研が中心となって研究を進めていたiPS細胞を用いた加齢黄斑変性の新たな治療法の実用化を担うこととなり、株式会社ヘリオスの設立に至っている。

2012年に京都大学の山中伸哉(やまなかしんや)教授がノーベル生理学・医学賞を受賞して以降、iPS細胞の認知が一気に向上したが、同社はノーベル賞受賞前からiPS細胞の実用化に向けた取り組みを始めていた。2013年にiPSアカデミアジャパン(株)との特許実施権許諾契約を締結したほか、理研ともiPS細胞由来のRPE細胞(網膜色素上皮細胞)を用いた再生医療製品にかかる独占的特許実施権許諾契約を締結、また、大日本住友製薬<4506>と国内におけるiPS細胞由来のRPE細胞移植による加齢黄斑変性治療法に関する共同開発契約を締結するなど、事業化に向けた環境整備を一気に進めていった。

2014年には大日本住友製薬とRPE細胞の製造と販売促進を担う合弁会社、(株)サイレジェンを設立(出資比率50%)したほか、iPS細胞から3次元臓器を創出する研究を行っている横浜市立大学との共同研究も開始している。また、2016年1月には幹細胞MultiStemを用いた脳梗塞治療薬の開発を進めているアサーシスとライセンス契約を締結し、早期収益化に向けた新たな取り組みも開始している。

(2)事業体制

現在の事業体制を分野別に整理すると、iPS細胞を用いた再生医薬品分野では、iPSアカデミアジャパン、理研からライセンス導入を行い、国内市場では大日本住友製薬と共同開発、前臨床試験は新日本科学と行っている。また、海外市場での事業展開に関しては、スイスのLonzaと2015年に細胞の製造委託契約を締結し、技術移転を完了しており、開発販売については2016年内にパートナー企業を決定し契約を締結することを目指している。また、3次元臓器の開発においては、横浜市立大学と共同研究を進めている。そのほか、次世代の細胞製造技術となる自動培養装置に関して澁谷工業<6340>、ニコン<7731>、大阪大学と共同開発を行っている。

体性幹細胞を用いた再生医療分野では、2016年1月にアサーシスとライセンス契約し、国内での脳梗塞治療薬の開発販売について同社が進めていく計画となっている。販売については独自で展開することを基本としつつも、パートナー企業を決定し、サブライセンス契約を締結することも選択肢の1つとして考えている。

一方、化合物医薬品分野においては現在、欧州で販売されている眼科手術補助剤「BBG」がある。同製品は九州大学の研究グループが発見した染色性の高い色素を基に開発したもので、産学連携機構九州よりライセンス導入し、海外市場ではオランダのDORC(Dutch Ophthalmic Research Center International B.V.)に、国内市場ではわかもと製薬<4512>にそれぞれサブライセンスを供与している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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