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【特集】エイアンドティー Research Memo(1):売上高100億円を達成、売上高・利益とも過去最高業績を更新


エイアンドティー<6722>は、2016年2月9日に2015年12月決算(非連結)を発表した。2015年7月30日に発表した業績予想の上方修正をさらに上回る好決算となり、売上高・利益とも過去最高を更新した。さらに、これまでマイルストーンとして掲げられてきた売上高100億円以上、売上高経常利益率10%以上の両方を達成した。国内では、営業・エンジニアの人員拡充により直販が増加、さらに、売上高の約20%を占める日本電子<6951>へのOEMも強化した。検体検査自動化システムでは大型案件の受注が増加した。海外も米国ABBOTT社(以下、アボット)を始めとするOEM先との取引が拡大した。海外向けでは各国の規制やニーズに対応した製品の開発も進んだ。いずれも、血液検査に必要な機器・システム及び試薬という参入障壁の高い市場で高い技術力と製品の信頼性を維持している同社だからこそできた結果と言えよう。

このように国内・海外ともに着実に事業を拡大した一方で、人件費の増加に対しては、投資の見極め、内製化の推進などによって、合理的で無理のないコストコントロールを行い、高い利益率を実現した。2014年3月から同社を率いる三坂成隆(みさかしげたか)代表取締役社長は、経営の基本に「成長のための足場を固め、長期にわたって安定成長ができる企業にする」と掲げているが、2015年12月期の決算は、まさに経営の“王道”と言える方針を貫いた成果と言える。好業績から増配にも踏み切った。

さらに、足元における最大の懸案であった中国合弁の東軟安徳医療科技有限公司に関しても、新たなスキームで再構築のめどを付け、中国市場での事業拡大に乗り出せる体制を整えた。

ただ、同社はこの好決算に決して浮足立つことなく、2016年12月期以降も、三坂社長の経営方針を堅持する。持続可能な成長を確実にするために新製品の投入や研究開発費の増額、新規事業への進出、設備投資などの前向きな投資を積極的に展開する。このため、2016年12月期は8期連続の増収となるものの、減益を予想している。

投資家が注目する中期5ヶ年計画も、投資家受けする急速な右肩上がりの数値目標を掲げるのではなく、緩やかではあるが、長期にわたって可能な成長を実現するための戦略が中心になると考えられる。したがって、投資家には、足元の業績に一喜一憂するのではなく、長期的な視点からの投資姿勢が求められるだろう。

■Check Point
・主力の臨床検査機器システムが増収をけん引
・過去最高益の更新を受けて4円増配の20円配当
・戦略商品が完成、海外販売ではアボットとの連携強化

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)

《SF》

 提供:フィスコ

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