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【市況】国内株式市場見通し:ドラギマジックに期待、原油安定とSQ需給加わり相場の転換点にも


先週の日経平均は上昇。週末には2月8日以来、約1ヶ月ぶりに17000円を回復した。注目されたG20財務相・中央銀行総裁会議の声明では、「機動的に財政政策を実施する」と明記され、金融安定化への期待から週明けの日経平均は大幅に続伸して始まった。しかし、中国・上海指数が昨年来安値を更新したことが重しとなったほか、テクニカル面では25日線が上値抵抗に。その後も中国PMIの悪化や円高が嫌気される格好から、一時16000円を割り込む場面もみられた。ただし、日経平均は15800-16400円辺りでのもち合いが続く中、米国市場ではISM製造業など予想を上回る経済指標の発表を受けて1日のNYダウが350ドルに迫る上昇に。これが好感される格好から、2日の日経平均は660円超の上昇となり、これまでのもち合いレンジを上放れた。その後も米ADP雇用報告が予想を上振れたほか、地区連銀経済報告(ベージュブック)で大半の地区で経済活動が拡大したとの認識が示されたことなどが好材料視される格好からリバウンドが強まると、3日の日経平均は今年初の3日続伸を達成。そして週末の米雇用統計への期待が高まった週末は、4日続伸で節目の17000円を回復している。

まずは米雇用統計の結果が週明けの市場に影響を与えることになろう。市場コンセンサスは、雇用者数19.5万人増(前月は15.1万人増)だったが、結果はこれを大幅に上回る24.2万増だった。失業率は4.9%で前月と同水準にとどまった。利上げ見通しに影響を与える可能性はあるが、平均時給が下落したことで3月の利上げは困難との見方。4月もしくは6月のFOMCで政策行動を取る可能性はあるが、一先ず今回の雇用統計と市場反応については、好いとこ取りといったところである。

そのほか、原油相場に底入れが意識されてきている。先週、サウジアラビアは、原油相場のボラティリティーを抑制するため、主要産油国と引き続き協力して取り組んでいくとの見解を示している。依然として先行きに対する不透明感が強いものの、一部のヘッジファンドなどは底入れからの反発を想定したポジションに切り替える動きもみられているようである。3月20日に産油国会談がロシアで開催される予定であり、それまでにはポジション調整的な流れからの上昇が意識されやすく、株式市場へは政府系ファンドによる売り圧力が低減するとの見方につながろう。

また、中国の全国人民代表大会(全人代)が5日から始まった。中国は景気の減速が鮮明となっており、2020年までの新たな5ヵ年計画で経済政策の基本方針や社会の発展に向けた重点事業といった内容が注目される。さらに、7日にEU首脳会議、ユーロ圏財務相会合が開催される。10日にECBが政策金利を発表し、ドラギ総裁が会見を行う。ECBは既に、刺激策を「見直し、再検討する可能性」があると言明しており、金融安定化に向けた、手段が注目される。先週の米雇用統計への期待が高まっていた状況から、今週はECBへの期待が株式相場の手掛かり材料といった形になりそうである。

そのほか、需給面では週末に先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を控えている。3月期末要因から大きく振れてはほしくないところでもあり、17000円辺りで落ち着きたいところか。ただし、翌週14、15日には日銀金融政策決定会合、15、16日にはFOMCを控えている。金融安定化に向けた各国の舵取りに市場の関心が集まりやすく、原油相場の安定にSQの需給も加わることで、相場の転換点を迎える可能性もありそうだ。なお、先週は価格帯別出来高で大きく膨らんでいた16000-16200円を突破し、その次に積み上がっている16900-17100円レベルを捉えている。2月の戻り高値水準辺りまでそれ程厚みはなく、売り方は買い戻しを迫られやすい需給状況であろう。

《FA》

 提供:フィスコ

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