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【特集】【中国の視点】需給関係では説明つかない住宅高騰、「中国版サブプライム」誘発も


昨年12月に開催した中央経済工作会議(翌年のマクロ経済政策を決定する上で最も権威ある風向計)では、住宅在庫の消化を2016年の五大重要課題のひとつに組み込まれた。

翌年の重要な課題に組み込まれていることについて、住宅の供給が需要を大幅に上回り、在庫の消化を急ぐ必要があることが背景にある。ただ、最近の住宅価格の高騰は需給関係とは逆方向に進んでいると警告されている。

価格上昇が最も著しい都市について、広東省の深セン市、上海市、北京市など主要都市が挙げられる。また、主要都市のほか、住宅供給が過剰になっている中小型都市の住宅価格も主要都市に追随して上昇している。

多くのメディアは、主要都市の価格急騰について、人口が多いことや、需要が供給を上回っていることなどが主因だと分析している。

ただ、専門家は、北京市や上海市、深セン市の住宅価格がすでに東京やニューヨークなど世界の主要都市を上回っていると指摘。これとは対照的に、中国の3大都市の1人当たりの域内総生産(GDP)は東京やニューヨークを大幅に下回っている。また、中国経済がこうした高い住宅価格を支えきれなくなっている状態にあるため、不動産バブルが崩壊し始めたら、株式市場の暴落よりも数倍危険だと警告された。

また、専門家は、現在の中国の住宅市場について、住むためではなくて単なる金融商品のひとつになっていると指摘した。頭金を提供する金融商品が出回っているほか、一段の上昇を見込んで多くの人々は自身の購買能力を超えた高価な不動産に手を出している。バブル崩壊の直前には価格が急騰するケースが多いため、適切な対策を講じなければ、「中国版サブプライム危機」を誘発する恐れがあると警戒されている。
《ZN》

 提供:フィスコ

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