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【特集】アーバネット Research Memo(3):相続対策として高齢者が購入するケースが増える


■市場環境

アーバネットコーポレーション<3242>の基軸事業である都内の投資用ワンルームは、入居者及び投資家双方の堅調な需要に支えられて好調に推移している。東京都総務局の公表データによると、同社が供給エリアとしている東京23 区の人口は、東京都への転入超等を背景として増え続けている。特に、若年層を含め、晩婚化や離婚率の増加などを背景として単身世帯の増加が目立っており、今後もワンルームマンションの賃貸需要を支えていくものと考えられる。また、投資家サイドでも、将来の年金受給や老後の生活不安を抱えた20~30代の個人投資家からの需要が拡大していることに加え、AIJ投資顧問やMRIインターナショナルなど投資商品に関わる事件の影響で、安全な投資先として不動産投資が再評価されてきたことも追い風となっている。最近では、基礎控除が引き下げられた相続税対策として高齢者が現金で購入するケースや、円安等を背景として海外投資家からの引き合いも強い。

一方、首都圏における投資用ワンルームの供給戸数は、2007年をピークとしてリーマンショックによる金融の引き締めや事業者の倒産、撤退に加え、自治体のワンルームマンション建築規制(最低面積の規定、付帯設備の設置等)の強化などにより減少してきたが、2010年に底を打ち、ここ数年は、金融機関のスタンスの変化や根強い需要に支えられて安定的な推移を見せている。なお、プレイヤーについては、販売だけを手掛ける会社が数多く見られるものの、同社のように設計・開発に特化する相当規模の同業他社(特に上場会社)は見当たらない。

業界における当面の課題として、開発面では、金融機関による不動産融資の積極化とプレイヤーの増加により、都心での事業用地取得が厳しくなってきたことや、地価の上昇や円安等に伴う建設資材の高騰、職人不足による工期の長期化等により、建設コストが高止まっていることなどが挙げられる。また、販売面では、分譲用マンション、投資用マンションともに東京23区は依然好調であり、特に投資用マンションは、海外投資家の参入などから在庫不足の状況がみられる。一方、都下及び郊外の分譲用マンションは、販売価格の上昇により購入意欲に陰りが見え始めているようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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