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【特集】アーバネット Research Memo(1):富裕層や海外投資家などの参入で好調に推移


アーバネットコーポレーション<3242>は、東京23区駅10分以内での投資用ワンルームの開発・1棟販売(卸売:BtoB)を基軸事業としている。用地取得からマンション開発、そしてマンション販売会社等への1棟販売を手掛けており、設計・開発に特化しているところに特徴がある。設計事務所からスタートしたデベロッパーとして、機能性やデザイン性に優れた「ものづくり」や、開発立地へのこだわりが入居者からの高い支持を受け、空室率の低さを誇っている。都心における不動産市況にはやや過熱感がみられるものの、従来からの不動産投資家に加え、年金受給に不安を抱える新たな個人投資家や円安に起因する海外投資家の参入、相続税の実質増税に対応する富裕層などいくつもの追い風により非常に好調に推移している。

2016年6月期第2四半期累計(以下、上期)決算は、売上高が前年同期単体比62.7%増の7,859百万円、営業利益が同84.3%増の914百万円と大幅な増収増益となった※。投資用ワンルームの販売戸数が288戸(前年同期比21戸増)と順調に拡大したことに加えて、他社物件の買取再販も1棟販売を含めて31戸(前年同期は実績なし)と大幅な増収に寄与した。利益面では、地価の上昇や建築資材の高止まりが利益を圧迫したものの、海外投資家への1棟販売等により売上高総利益率が想定を上回って推移したことから期初予想を上回る増益となった。

※同社は2015年6月期第3四半期より連結決算に移行しているため、前年同期比は2015年6月期第2四半期累計期間における個別決算との比較によるものである(以下、同様)→欄外に記載

2016年6月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置いており、売上高が前期比34.3%増の16,000百万円、営業利益が同6.5%増の1,760百万円と実質的に5期連続の増収増益となる見通しである。自社開発物件の販売計画は投資用ワンルーム637戸と建売4戸となっており、他社物件の買取再販についても37戸を予定している。弊社では、販売予定物件のほとんどが契約済となっていることから業績予想の達成の可能性は高いとみている。

同社は、都心における用地取得が困難な状況となっているなかで、来期(2017年6月期)の販売予定分として既に680戸を確保済みであり、当面は拡大基調が継続される見通しである。ただ、弊社では、超低金利政策や相続税課税強化などを背景とした個人投資家の根強い需要や海外投資家からの強い投資意欲が続いているものの、都心における不動産市況にやや過熱感がみられることに加え、足元では為替や株式など金融市場に不安定な動きがあること、さらには将来的に起こり得る循環的な景気変動の影響等を勘案して、これまでの積極的な拡大路線がやや慎重なスタンスへと転換されるシナリオも念頭に置く必要があるとみている。再来期(2018年6月期)以降の用地取得の状況に加えて、100%子会社(株)アーバネットリビングによるBtoC事業(自社開発物件の戸別販売や他社物件の買取再販、マンション管理及び賃貸事業等)の強化など、次の成長ステージに向けた施策の進捗にも注目していきたい。

■Check Point
・投資用ワンルームを主力にして規模を拡大
・将来の成長に向けた用地取得が順調に進展
・アーバネットリビング設立によるグループ全体の収益力アップに期待

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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