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【経済】NYの視点:米製造業の見方分かれる


世界28の地域のマークイット製造業PMIの2月分は1月から悪化した。改善は7地域にとどまった。世界のほぼ7割の国の製造業が鈍化傾向にあり、また、米2月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)が予想外に50を割り込み活動収縮を示した中、米供給管理協会(ISM)が発表した2月ISM製造業景況指数は49.5と、1月48.2から上昇し昨年9月来の高水準となった。市場予想の48.5も上回った。結果を受けて、ISM製造業調査委員会のブラッドリー・ホルコム委員長は「米国の製造業が底入れし、転換点となる可能性がある」と楽観的な見方を示した。さらに「米国経済は他国経済に比べ良好である」と強調。

しかし、5か月連続での50割れで依然、製造業活動は縮小。2009年以来で最長となる。内訳で主要項目となる新規受注も1月と同水準にとどまったほか、輸入や輸出は1月から低下した。石油関連事業者は価格の下落や活動の鈍化が依然ビジネスに悪影響を与えると指摘。また、同日、マークイットが発表した米国の2月製造業PMI改定値は51.3と、市場予想51.2を上回り、速報値51.0から上方修正された。しかし、1月の52.4から低下。内訳で雇用項目は過去5か月間で最低に落ち込んだほか、生産は28カ月間で最低、在庫は2009年9月来で最低となった。マークイットのチーフエコノミストは「2月の結果は米国の製造業活動に更なる損傷が加わったことが示された」と悲観的。輸出の減少で、生産や受注は引き続き低迷しており、雇用の伸びも鈍く、価格は2012年中旬以来の水準まで下落したと指摘した。同時に2014年中旬からの製造業活動の悪化はドルの上昇に比例すると指摘。他の向かい風として原油価格の下落を加えた。世界経済成長への懸念や米国大統領選挙に向けた不透明感で、製造業セクターは金融危機以来で最も困難な課題に直面しているとした。

アトランタ連銀は1日、1-3月期の国内総生産(GDP)見通しを2月26日付の見通し2.1%成長から1.9%成長に下方修正した。米国勢調査局が発表した1月建設支出を受けて、連邦、地方政府の支出の伸びを1.0%から2.4%へ上方修正したものの、米供給管理協会(ISM)が発表した米国の2月ISM製造業景況指数を受けて実質消費を3.5%から3.1%へ下方修正したことが影響したと指摘した。年初には本年4回ほどの利上げを予想していたNY連銀のダドリー総裁は1日、中国における講演で「見通しでリスクバランスが下方に傾斜した」と慎重な見通しを示し、姿勢をハト派に転換した。


■ISM製造業指数内訳

景気指数:49.5(1月48.2)
仕入価格:38.5(33.5)
生産:52.8(50.2)
新規受注:51.5(51.5)
受注残:48.5(43.0)
入荷遅延:49.7(50.0)
在庫:45.0(43.5)
顧客在庫:47.0(51.5)
雇用:48.5(45.9)
輸出:46.5(47.0)
輸入:49.0(51.0)

《NO》

 提供:フィスコ

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