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【経済】NYの視点:ECBの追加緩和観測強まる、ユーロ圏CPIは予想外のマイナス


世界金融市場の焦点は20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の終了後、欧州中央銀行(ECB)の定例理事会に移った。欧州連合(EU)統計局が発表したユーロ圏の2月消費者物価指数(CPI)速報値は前年比0.2%低下と、予想外に昨年9月以来の低下となった。また、1年ぶりの低水準。原油安が影響した。しかし、燃料や食品を除いたコアCPI速報値も前年比0.7%上昇と、昨年4月来の低水準となったため、ECBの政策決定において圧力になることは必至。

ECBの量的緩和(QE)にもかかわらずインフレ率は再びマイナスに落ち込み目標値に向けて進展するどころか逆戻り。この結果は、次回3月10日に予定されている定例理事会で欧州中央銀行(ECB)が積極的な追加緩和を講じることを後押しする。1-3月期のインフレが平均で0.9%付近に留まる可能性が強まり、メンバーもインフレ見通しを大幅に引き下げると見られる。従って、追加緩和を正当化することになる。

ECBのドラギ総裁は1月の定例理事会後の記者会見で今後数か月インフレ率が非常に低い水準、または、マイナス圏で推移する可能性を指摘。インフレ率の低下で、ドラギ総裁は追加緩和実施において支持を獲得することが可能となる。追加緩和の選択肢としては、1)預金金利を現行のマイナス0.3%から10から20ベーシスポイント程度引き下げマイナス0.4%、マイナス0.5%に設定する。影響を和らげるために金利を2段階に分ける可能性も指摘されている。2)資産購入プログラムの期限を現行の2017年3月から2017年12月まで延長する。規模を拡大する。3)流動性の調整でTLTRO「条件付き長期資金供給オペ」を延長する、などが挙げられている。

3月10日に予定されている定例理事会を控え、1日に民間マークイットが発表する2月製造業PMI確定値は51.0と、1月に並ぶとの予想。1月の失業率も12月と同様10.4%が予想されている。1月の生産者物価指数(PPI)は前月比1.0%低下と、1月以来で最低水準に悪化する見込み。1月の小売売上高も前年比1.3%と、12月の1.4%から伸びが鈍化し、昨年11月以来の低い伸びにとどまると見られている。

《NO》

 提供:フィスコ

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