【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 賢い投資家はいまは様子見
株式評論家 植木靖男
「賢い投資家はいまは様子見」
●中国リスク・原油安の織り込み進む
春のキンモクセイがそこはかとなく匂う季節となってきたが、株式市場の春は遠く、むしろ不透明感が強まっているのが現状だ。昨年6月高値から日柄で8ヵ月、率にしておよそ30%下げたが、なお底入れ感が出ていない。
昔から“3割高下に向かえ”との相場格言があるが、日経平均株価の2月12日安値1万4952円(終値ベース)はまさにその格言通り底入れしたかにみえた。だが、30%下げた割には、その後の反発にはダイナミックさが欠ける。
年初来、一度として3日連続高がみられない。つまり人体でいえば体幹が確りしていないようにみえる。だとすれば、再び株価は下値模索の局面を迎える公算が大きいだろう。
市場環境からは、昨年来、中国リスク、原油安が繰り返し株価の下押し圧力として顕在化してきた。もっとも、この二つの警戒材料は日柄からみて相当程度、株価に織り込まれているとみてよい。
中国の景気や上海株、通貨元相場も安定には遠いものの、中国当局も神経を尖らせているようにみえる。つまり、隙(スキ)を見せないのだ。
一方、原油安も1バレル=30ドル前後での底もみが続いている。ここから下げても、いわゆる逆三尊底を形成することになりそうだ。
●本格出動には「3日連続高」待ち
では、なぜ株価に底入れ感が出ないのか。新たに浮上してきたのが、米国経済の先行き不透明感だ。エネルギー安で消費は堅調といわれてきたが、それに陰りがみえてきたという。
いうまでもなく、世界経済はこれまで新興国が牽引してきたが、「これからは先進国が」というのが通り相場。だが、肝心の先進国のリーダーである米国景気に不透明感が出てきたとすれば深刻だ。また、市場が期待したG20への評価が芳しくなければ、期待は容易に失望に変わり得るだろう。
もっとも現況はいますぐ下放れるかどうかは定かでない。3月上旬にかけ一旦戻りに入る可能性もあるからだ。個々にみると、結構、2月25日前後から1週間ぐらい強張るとみられる銘柄が増えてきていることも念頭に入れたい。
ただ、やはり指数が3日連続高をみせない限り、本腰を入れて買うタイミングとはいえないようだ。石橋を叩いて渡る投資家なら暫時、様子をみるのが賢明というものだ。
2016年2月25日 記
株探ニュース