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【経済】中国:政府系金融グループ、外資ファンドの「元急落予想」に反論


中国国際金融は24日付のリポートで、人民元に対する外資系ヘッジファンドの弱気見通しに反論した。
ヘイマン・キャピタル創設者のカイル・バス氏は先に、人民元が3割下落するとの見方を示したが、これに対し中国国際金融は、「中国の銀行が危機に面していることはなく、人民元が大幅に下落することはない」としている。
その根拠の一つは、中国は充分な外貨準備を擁すること。「中国の外貨準備データには現在、ソブリンファンドや政策銀行、国際金融機関が注入した資産は含まれておらず、仮にこれらの資産を踏まえると、外貨準備高は足元の3兆6000億米ドルから4兆5000億米ドルに膨れ上がる」との試算を示した。
また、バス氏が1990年代の日本と比較したことに対し、「現在の中国と90年代の日本とを単純に比較ができない」と指摘。現在の中国は当時の日本と違い、需要と生産力に依然として大きな成長余地があるためと説明した。また、都市化率も56.1%で、当時の日本の77.3%を大幅に下回っているほか、1人当たりGDPも7847米ドルで、当時の日本の2万7144米ドルに比べて極めて小さく、「工業の生産能力は過剰だが、重要な商品やサービスはなお供給が不足している」と解説している。
このほか、中国のレバレッジ率も90年代の日本を大幅に下回っていると紹介。「現在の中国と当時の日本は、高いレバレッジ周期後のデレバレッジの周期にあるという点では似通っている部分があるものの、現在の中国GDPに占める債務比率は300%以下で、当時の日本を下回っている」と強調した。
さらに、中国の債務比率が極めて高くなってるのは、資金調達で銀行借り入れが主導的地位を占めているためと説明。「株式や債券市場を通じた資金調達が多い他国と比較して、レバレッジが過度に高いと単純に判断できない」とし、債務は「依然として合理的でコントロール可能な範囲内にある」と力説した。
銀行の質も、98年や2002年に比べて良好と分析。その根拠として、◆現在の帳簿上の不良債権比率は約2%(当時は25%)、◆実際の不良債権のGDPに占める比率は約5~10%(当時は40%)、◆預金準備率は17.5%(当時は13%)??などの指標を挙げている。
こうした点を踏まえたうえで、「中国の膨大な純備蓄規模、他の主要国が低金利またはマイナス金利の環境にあることなどを考慮すると、人民元が30%以上下落する余地はない」と明言した。

【亜州IR】

《ZN》

 提供:フィスコ

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