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【特集】<話題の焦点>=スマイルケア食、農水省の後押しで普及加速へ

 農林水産省はこれまで曖昧だった「介護食」について、新たな視点で捉えなおす「スマイルケア食」を提唱している。同省は、介護食品市場の拡大が国産農産物の活用にもつながるとし、見た目や栄養に配慮した介護食品を「スマイルケア食」と名付け普及を進めている。スマイルケア食は食べやすさ・飲み込みやすさはもちろん、「美味しさ」「見た目の美しさ」にもこだわり、要介護者の食欲を促し、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を高めることを目的としている。

 食べ物を思うように噛めなくなると、繊維質のものや噛む回数が多い肉や甲殻類などを避けるようになり、食べられるメニューが限られ栄養の偏りにつながる。また、飲みこむ力が弱いと、食べ物がのどに詰まったり、むせたりして食事に恐怖心を抱き、食べる量が減少する懸念がある。

 こうした栄養バランスの悪さや摂取量の減少は、生きていくために必要な量の栄養素を摂れていない「低栄養」という状態を招き、たんぱく質の不足は、筋肉量や血液量などの減少につながり、身体機能の低下に直結し、ますます食欲が落ちるという悪循環に陥りかねない。

 悪循環を防ぐためのスマイルケア食関連銘柄として、高野豆腐でトップシェアを占める旭松食品<2911>に注目。同社は、小さくきざんでやわらかく煮込み、1食ごとにパッケージした、調理済みの冷凍きざみ食「やわらか百菜」を、オンラインなど通信販売中心に展開している。キユーピー<2809>は、1998年に、おいしさや栄養、食べやすさに配慮した「やさしい献立」を発売。レトルトを中心に積極的な品ぞろえを展開している。さらに、「やわらか食・栄養補給食」のブランドで、業務用の栄養強化・大容量タイプを病院や介護施設などに納入している。

 森永乳業<2264>は、医療機関向けが中心だったが、一般流通への販売も強化。「調理の手間を省きたい」といった高齢者などのニーズも含めて介護食を「やわらか亭」のブランドで発売。明治ホールディングス<2269>は、レトルトパウチ商品のほか、チルドコーヒーのような小型のカップ型介護食「明治メイバランスMini」を発売している。マルハニチロ<1333>は、噛む力が弱くなった人向けに「やわらか食」を販売。やわらかさを4段階に区分したレトルトと冷凍、ゼリー飲料などバリエーション豊富な品ぞろえが特長で、食品スーパーでの販売の増加を目指している。

 ニチレイ<2871>は、カロリーや塩分を調整して生活習慣病の予防効果を考えた冷凍総菜セット「気くばり御膳」を中心に、幅広い層に商品を販売。セコム<9735>の食品通信販売事業「セコム食」では、「摂食回復支援食」を手掛けている。体調の悪化や、噛む力が弱まるなどで、一般的な食事を食べることが難しい状態の人にも“食事をする楽しみ”を味わってもらいたいとの思いで開発した商品という。

出所:株式経済新聞(株式会社みんかぶ)

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