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【経済】NYの視点:中国人民銀行VS投資・投機家


中国人民元は対ドルで10年間で最大の上昇を記録した。春節(旧正月)の連休明け15日、中国人民銀行は対ドルでの人民元基準値を6.5118元と、連休前の基準値と比べて、0.3%の元高・ドル安に設定。中銀は理由として投資妙味を高めるためと説明した。また、ドル高が一段落したための調整とも言われている。投資家は中国の経済だけでなく、為替政策への不透明感などから投資資金を引きあげている。

中国人民銀行が人民元防衛と資本流出阻止のため元買い・ドル売りの市場介入を続けた結果、1月の中国外貨準備は3カ月連続で減少。貿易相手国である日本や欧州の円やユーロが対ドルで上昇していた間も問題はなかった人民元の水準は、米国の利上げを織り込む動きにドル高が加速したため、高く維持することが困難となった。

アナリストは2015年の中国からの資本流出が0.5兆ドル-1.0兆ドルの水準に達したと試算している。このような環境下、市場では輸出主導型の中国経済の鈍化で、当局が輸出の回復を目指し年初から加速している人民元の切り下げをさらに強化するとの警戒感が強まった。一部の米著名ファンドマネジャーなどは「人民元は50%の切り下げが必要」とし、人民元の売り持ちポジションを増やしている。

このような投機的動きに対し、周小川総裁は「財新」のインタビューの中で、「外貨準備に関する市場のセンチメントを投機筋に主導させるべきではない」「外貨準備が増減するのは極めて自然」とし、国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)を構成する通貨バスケットへの人民元導入に向けて、人民元相場に柔軟性を持たせていく方針を示した。

こういった動きは、今月末に控えている20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を見据えた動きともとれる。中国当局は米中経済戦略会議などの国際会議の直前、人民元を引きあげる傾向がある。G20の主要議題として、為替相場の安定が浮上しているが、果たして、中国が投資家が期待しているとおり、柔軟な為替政策への移行を実施するかどうかが問題。今後の人民元動向が投資家心理に大きく影響していく。

《NO》

 提供:フィスコ

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