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【市況】国内株式市場見通し:春節明けの中国に関心、日銀や財務相による介入への思惑高まる


■約1年4ヶ月ぶりに節目の15000円割れ

先週の日経平均は大幅に下落。週初こそ前週の下げに対する自律反発から5日ぶりに反発をみせ、17000円を回復する場面をみせた。しかし、その後はドイツ銀行の財政不安が欧州銀に広がりをみせたほか、原油先物相場の弱い動きから不安定な相場展開に。さらに米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の議会証言において追加利上げペースが鈍るとの見方が強まると、11日の為替市場では日本の祝日で商いが細る局面で円が急騰し、一時1ドル110円台をつけた。この流れを受けた祝日明けの日本株市場は全面安商状となり、日経平均は一時約1年4ヶ月ぶりに節目の15000円を割り込んだ。

■週初は金融株主導で自律反発へ

イエレン議長証言では、中国を巡る海外経済の不透明感が米国経済に影響を与える恐れがあるとの認識が示された。先週末12日の欧米市場では、ドイツ銀が54億ドル(約6100億円)相当の無担保優先債を買い戻す計画を発表。金融株を中心に自律反発の流れが強まっており、欧州市場は軒並み上昇し、米国市場ではNYダウが300ドル超の上昇。シカゴ日経225先物清算値は大阪比610円高の15410円と大きく上昇している。原油先物相場も大幅高となっており、週明けの日本株市場は大幅反発が意識される。

■春節明けの中国市場に注目、政府・日銀の介入思惑

一方で、年初からの中国株安に端を発した世界の金融市場動揺が再燃する中で、春節明けの中国市場の動向が注目される。日経平均同様、年初から20%を超える下落となった上海指数が春節明けに一段安となるようだと、欧米市場の上昇効果も一過性となる可能性があるだろう。戻りの鈍さが意識されてくるようだと、改めて売り仕掛け的な商いが入りやすい。

もっとも、先週は安倍首相と日銀の黒田総裁が首相官邸で会談し、国際金融情勢や日銀のマイナス金利政策について意見を交換している。また、麻生財務相は円高ドル安が急激に進んでいることについて「必要に応じて適切に対応していく」と述べ、円高の動きをけん制。口先介入等を含めて、今後は日銀や財務相による動きが意識されやすいだろう。

日経平均は節目の15000円を割り込んだ。明確な底入れを見極める必要がある
が、週末には三菱UFJ<8306>がプラスに転じる場面をみせるなど、底堅さが意識
されてきている。また、決算発表がピークを通過することから、業績に安心感の
ある中小型株などには、外部環境の不透明要因を避ける流れからも、見直しの動
きが向かいやすいと考えられる。

■ドラギ総裁証言に関心、G20での協調行動への期待

経済スケジュールでは、15日に10-12月期のGDP(速報値)が発表される。また、1月の中国貿易収支のほか、ECBのドラギ総裁が欧州議会の経済金融委員会で証言を予定している。16日には2月の独ZEW景況感指数、17日には米FOMC議事録(1月26、27日分)、1月の米住宅着工件数、18日に1月の中国消費者物価指数、EU首脳会議、19日に1月の米消費者物価指数が予定されている。

10-12月期GDP速報値は2期ぶりにマイナス成長となる見通しであり、これを受けて日銀は3月にも追加緩和を実施する可能性がありそうだ。また、ドラギ総裁の証言によって欧州発の金融不安を後退させ、欧州市場が落ち着きをみせてくるかが注目されそうだ。また、ドイツ銀行の動向も引き続き関心が集まりそうである。その他、今月下旬に中国・上海で開催される20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)での協調行動に期待する声が、急速に高まってきている。

日経平均は2012年の9000円割れ水準からみれば、これまでの上昇に対する調整の範囲内とみることができる。しかし、先週の下落局面において本格的な下落トレンド入りを警戒する向きも増えていると考えられる。郵政グループ3社が揃って上場来安値を更新する状況等をみても、投資家のセンチメントが改善するには時間を要することになるだろう。

《FA》

 提供:フィスコ

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