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【市況】国内株式市場見通し:米利上げ観測に振らされやすい週に、トヨタのアク抜けに期


先週の日経平均は下落。週初こそ日銀によるマイナス金利政策を受けた物色が続き、ノンバンクや不動産が買われたほか、円相場が円安に振れて推移していることから、ハイテクや自動車などへの見直しが見られた。しかし、マイナス金利の悪影響を受けるとされるメガバンクへの売りが重しとなり、その後は不安定なそうな展開に。その後も本格化する決算発表での相次ぐ下方修正のほか、原油相場の動向、さらに米1月ISM非製造業景況指数が予想を下振れたほか、ダドリー米NY連銀総裁が金融環境のひっ迫に懸念を表明したことを受けて、米利上げに懐疑的な見方が広がった。これを受けて為替市場ではドル売りが強まり、週末には1ドル116円台の円高・ドル安の中、輸出関連を中心に売り圧力が強まっていた。

結果、日銀のマイナス金利政策の導入を材料視した先週末の上昇部分を帳消しにした。これまでも調整トレンドの中でリバウンドであったため、過度な不安感が強まる状況ではないとしても、投資家のセンチメントは悪化している。これまで原油相場の大きく振らされる相場展開であったが、週半ば以降は為替相場に市場の関心が向かっている。

まずは週末の米雇用統計の結果を受けた市場反応が注目される。雇用統計については就業者数の伸びは市場の予想を下回る15万1000人とやや勢いに欠けたが、失業率は4.9%に下がり、ほぼ8年ぶりに4%台まで改善した。この結果を受けた5日の米国市場では、追加の利上げ観測が再燃しており、これが嫌気される格好からNYダウは211ドル安となっている。

米国ではこのところ予想を下回る経済指標の発表が相次いでおり、3月の利上げ観測が後退しており、これがドル売りを強める要因につながっている。米雇用統計が弱い結果となれば、3月利上げは厳しいとのコンセンサスとなり、これを織り込む流れからドル売りが強まりやすく、且つ株式市場への波乱につながる可能性があった。しかし、強弱混じる結果となり、利上げ観測が強まったものの、円相場は1ドル116円台での推移となり、シカゴ日経225先物清算値は16560円をつけている。日経平均は1月21日安値を目先底として意識している状況であるが、これに接近する局面となる中、センチメントはより悪化することが警戒される。

今週は10日にイエレンFRB議長が米下院金融サービス委員会での証言が予定されている。12日には1月の米小売売上高が発表されるため、米国の金融政策への思惑に振らされやすい相場展開になりそうだ。その他、中国が旧正月(春節)となり、インバウンドや民泊といった関連銘柄に関心が向かいやすい。また、同時期には北朝鮮のミサイル発射も警戒されるところ。

なお、トヨタ<7203>が5日大引け後に第3四半期決算を発表。いずれも4-12月期としては過去最高だった。通期計画については純利益のみ上方修正しているが、売上高・各利益ともにコンセンサスを下回っている。ただ、あわせて自社株取得を発表している。5日の米国預託証券(ADR)では6450円近辺まで押しており、週明けは1月21日安値(6392円)を窺う可能性はある。しかし、同社が売り一巡後にアク抜けとなれば、センチメントを明るくさせよう。

その他、経済スケジュールでは8日に日銀が金融政策決定会合(1月28、29日分)における主な意見を公表するほか、1月景気ウォッチャー調査、1月企業倒産など。9日には1月工作機械受注、10日には1月中古車販売台数、1月オフィス空室状況が予定されている。海外では8日に独12月鉱工業生産、インド10-12月GDP、9日に米大統領選、ニューハンプシャー州予備選(民、共)が行われる。11日に米新規失業保険申請件数、ユーロ圏財務相会合、12日に米2月ミシガン大学消費者マインド指数、独10-12月GDP速報値、ユーロ圏10-12月GDP速報値、EU財務相理事会が予定されている。

《FA》

 提供:フィスコ

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