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【特集】中電工 Research Memo(5):15/3期は売上高・営業利益とも前期を上回る


■業績動向

(1) 2015年3月期業績

中電工<1941>の2015年3月期の連結実績は、売上高が前期比6.7%増の145,547百万円、営業利益が同30.4%増の9,430百万円、経常利益が同9.7%減の16,130百万円、当期純利益が同22.3%減の10,492百万円となった。売上高と営業利益は、ともに3期連続の増加となったものの、営業外収益に計上される保有債券の早期償還に伴う償還益が前期の7,432百万円から3,460百万円へと3,972百万円、53.4%減少したため、経常利益と当期純利益が下落した。売上高営業利益率の上昇は、総じて受注環境が良く、工事の採算の向上等が主な要因となる。

○貸借対照表
2015年3月期の自己資本比率は81.8%と極めて高い。過去の経営の成果が営々と積み上がったものだが、総資産回転率の低下を招いている。流動資産の有価証券が32,228百万円、投資その他の資産の投資有価証券が107,013百万円あり、これら直接売上を生まない資産が合わせて総資産の53.2%を占めた。

○キャッシュ・フローの状況
2015年3月期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べて10,371百万円減少し、45,724百万円となった。営業活動によるキャッシュ・フローは、5,142百万円のプラスであったが、投資活動によるキャッシュ・フローが12,761百万円の支出超となった。投資有価証券の償還などにより25,300百万円の収入があったが、投資有価証券の取得に24,068百万円、定期預金の預入に8,950百万円、貸付けによる支出に5,326百万円があった。財務活動によるキャッシュ・フローの支出は、主に配当金の支払とリース債務の返済による。

○営業外収支及び特別損益
投資有価証券として保有する多額の外国債券が、同社の業績に少なからず影響を与えている。2009年3月期は、特別損失として投資有価証券評価損10,947百万円を計上した。その後、評価替えをした投資有価証券が額面で償還を迎えることになり、投資有価証券償還益が2013年3月期に548百万円、2014年3月期に7,432百万円、2015年3月期に3,460百万円発生し、経常利益を大きく押し上げた。投資有価証券償還益は、2016年3月期第2四半期に1,534百万円計上されたが、同下期には予定がなく、通期の金額は前期比1,926百万円減少することになる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《HN》

 提供:フィスコ

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