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【特集】泉州電業 Research Memo(5):利益率の高い機器用・通信電線の動向によっては上方修正も


■決算動向

(2) 2016年10月期通期の連結業績見通し

泉州電業<9824>の2016年10月期通期の連結業績は、売上高で前年同期比3.4%増の78,700百万円、営業利益で9.1%増の2,560百万円、経常利益で同5.1%増の2,880百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同19.7%増の1,880百万円を見込む。平均の銅建値の影響はほぼ中立と予想している。

商品別の売上高(単体ベース)は以下のように予想されている。機器用・通信用電線は前期からずれ込んでいる設備投資関連の需要が盛り返してくると見ており、前期比2.8%増の25,880百万円と予想している。電力用ケーブルはソーラー関連の需要が一服すると見られること、さらに売上高よりも利益優先の営業を展開する計画であることから同1.9%増の25,270百万円を予想している。汎用被覆線は住宅向けが消費増税の反動から回復に向かうとの見方から同7.8%増の8,830百万円、その他電線は特に積極的な販売を行わない計画であることから同3.8%増の4,720百万円と予想している。非電線はソーラー関連がさらに失速する可能性があるので、同4.2%減の9,600百万円と予想している。

設備投資額は1,745百万円(前期357百万円)、減価償却費は438百万円(同424百万円)が計画されている。主な内容は、東京西八王子の営業所を賃貸から自社所有にするための土地、建物の投資にそれぞれ500百万円と、合計1,000百万円を計画しているが、これは本来が前期(2015年10月期)に実施する計画だったもので、適当な物件が見つからなかったことから今期へずれ込んだ。

前期(2015年10月期)が予想を下回る結果となってしまったことから、今期についてはかなり控え目な予想となっている。現在の同社の事業環境から判断すると、旺盛な建設需要に支えられて電力用ケーブル及び、汎用被覆線は順調に推移する可能性が高い。主力の機器用・通信用電線もここへきて国内の設備投資関連に動きが出ていることから予想以上に続伸する可能性がある。また非電線もソーラー関連は不透明であるが、その他は増加も期待できそうである。この結果、全体的に同社商品に対する需要は、前期(2015年10月期)後半の失速分がずれ込んでいることもあり、底堅い動きになりそうだ。売上高は順調に拡大し予想を達成する可能性が高い。一方で、利益に関しては同社の見方はかなり保守的と思われるが、利益率の高い機器用・通信用電線の動向によっては上方修正の可能性もありそうである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《HN》

 提供:フィスコ

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