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【特集】アパマンショップ Research Memo(3):アパマンショップ店舗数は前期比27店舗増と順調に拡大基調続く


■決算動向

(2)事業セグメント別動向

○斡旋事業
アパマンショップホールディングス<8889>の斡旋事業の売上高は前期比2.1%増の11,321百万円、営業利益は同1.7%増の2,086百万円となった。アパマンショップの期末店舗数は、契約ベースで前期比27店舗増の1,159店舗(うち、直営店は同6店舗増の95店舗)と拡大基調が続いた。増加ペースが前期よりも鈍化したが、これはWebに掲載する賃貸物件情報に関して、記載情報の厳格化に向けた取り組みを前下期から優先して取り組んできたことが影響しており、この取り組みが一巡した第3四半期以降は増加ペースも、元に戻っている。

記載情報の厳格化とは、物件情報に関して従来よりも正確に各種情報を記載する取り組みで、Web上に登録している約180万件にも上る物件に関して、1件ずつ図面から見直しを行ってきた。こうした作業を集中して実施してきたことで、2014年9月期第3四半期から、2015年9月期の第2四半期まで営業利益率も前年同期比で落ち込んでいたが、当第3四半期以降は2年前の水準まで回復を見せている。

また、直営事業とFC事業で分けて見ると、売上高は直営事業が前期比4.7%増、FC事業が同0.4%増となった。FC事業では新規店舗数が少なかったことが影響した。一方、営業利益では逆に直営事業が前期比3.3%減、FC事業が同6.6%増と直営事業の利益が落ち込んだ。直営店1店舗当たりの営業利益が前期の12.9百万円から12.2百万円と若干落ちたことが影響した。ただ、これも新規出店の時期が下期に偏った影響が大きく、実質ベースでは収益性も維持したと考えられる。

○プロパティ・マネジメント(PM)事業
PM事業の売上高は、前期比0.0%増の23,658百万円、営業利益は同24.5%増の1,300百万円となった。2015年9月末時点の管理戸数は、前期末比3,066戸増の63,492戸(賃貸管理戸数が2,984戸増、サブリースが82戸増)となっており、家賃収入を売上計上するサブリースの管理戸数がほぼ横ばいとなったことが、事業全体の売上高が前期比横ばいとなる結果となった。サブリース物件の入居率(全国平均)に関しては、95.4%と前期比0.1ポイント低下したものの高水準で推移した。

営業利益の増益要因は、宅配水や消化器など関連サービス収入の増加に加えて、管理物件の清掃業務など従来は外注していた業務を一部内製化したことや効率化によるコスト削減効果などが寄与した。これらの取組みが奏効して、管理戸数1,000戸当たりの収益については売上高が減少したものの、利益は増益となり、利益率では前期の4.4%から5.5%へと上昇した。

○PI・ファンド事業
PI(プリンシパル・インベストメント)・ファンド事業の売上高は前期比5.5%増の1,938百万円、営業利益は121百万円(前期は8百万円の損失)となった。保有不動産における入居率や家賃の上昇で売上高が増収となったほか、経費削減を進めたことにより収益性が向上した。なお、同事業に関しては新たな不動産投資は行っておらず、今後も保有不動産の家賃収入が中心となる。

収益水準が低いように見えるが、これは減価償却費などが入っているためで、保有不動産の簿価に対する利回りで見れば、6.0%前後の安定したキャッシュを生み出している。なお、保有不動産の大半は福岡県北九州市にあるリーガロイヤルホテル小倉とその隣接地にある日本最大級のサブカルチャービル「あるあるCity」で占められている。

○その他事業
その他事業の売上高は前期比68.5%増の1,156百万円、営業損失は206百万円(前期は77百万円の損失)となった。コインパーキング事業、SOHO事業、自販機事業など賃貸関連事業のほか、物件の登録センター(SEO対策)などが含まれる。売上高についてはコインパーキングの管理台数が前期末比約2倍増の1,917台に拡大したことが貢献した。「あるあるCity」の駐車場(900台)を外部委託から自社管理に切り替えたことが増加要因の大半を占めているが、その他の駐車場管理なども増加傾向にある。一方、利益面では登録センターの費用増分が赤字の要因となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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