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【特集】アドクリ Research Memo(2):保険代理店、広告代理店、再保険の3つの事業を展開


■事業概要

(1)事業セグメント別の概要

アドバンスクリエイト<8798>の事業は保険代理店事業、広告代理店事業、再保険事業の3つの事業に区分されている。事業別の構成比(2015年9月期実績)で見ると、保険代理店事業が売上高、営業利益ともに9割弱を占める主力事業となっている。今後は子会社で展開する再保険事業を強化していく方針で、中長期的には保険代理店事業と再保険事業を収益柱とするダンベル型ビジネスモデルの確立を目指している。

○保険代理店事業
保険代理店事業は、同社の情報メディアサイト「保険市場」を通じて資料請求や問い合わせなどがあった見込み客に対して、非対面型の通信販売やネット完結型保険の販売、同社直営店舗である「保険市場」での対面販売、提携先となる協業代理店での販売など多様な販売チャネルを通じて、保険商品の販売を行っている。

販売する保険商品は生命保険や損害保険、少額短期保険など個人が利用する保険商品のほか、法人向け保険商品も扱っており、2015年9月末時点で「保険市場」で掲載している保険商品は82社250点と業界最大規模を誇っている。このなかでも最も多く販売している保険会社がメットライフ生命保険(株)で、同社の売上高に占めるメットライフ生命の比率は2015年9月期で55.3%と3期連続で50%を上回っている。

販売拠点としては、2015年9月末時点で直営店が13拠点、提携先代理店社数が170社334店舗となっている。このうち直営店に関しては、2013年春に大きく戦略変更を行い、従来、商業施設内を中心に展開していた23店舗を順次、交通至便な都市部のランドマーク的ビルへ集約し、金融商品に対するリテラシーが高いアッパーミドル層を中心に販売していく方向に改めた。また、直営店でカバーしきれないエリアの見込み顧客に対しては、提携する協業代理店を通じて販売している。なお、協業代理店に関しても、2016年度の改正保険業法の施行を控えてガバナンス体制やコンプライアンス体制、情報セキュリティ体制など社内管理体制の精査を行い、2013年11月時点の304社428店舗から、2015年9月末時点では170社334店舗へと絞り込みを進めている。

保険代理店事業における売上の主な内容は、保険会社から支払われる手数料収入である。保険契約者が保険会社に支払った保険料に対して、定められた手数料率を乗じたものが保険会社から同社に支払われる。生命保険など支払いが複数年にわたるものは、初年度と次年度以降で手数料率が変動するタイプの商品もある。手数料率に関しては会社ごと、保険商品ごとに様々だが、傾向的には貯蓄性の高い商品の手数料率が低く、逆に掛け捨て型の商品は高くなっている。

年間の代理店手数料収入のうち、新規契約分の手数料収入が占める比率は約8割で、残り2割は既契約分の継続手数料収入(複数年契約の保険商品で2年目以降の手数料収入分)となっている。このため、期初の段階で年間売上高の約2割は把握できることになり、ストック型のビジネスモデルに近い収益構造と言える。なお、協業代理店で販売契約したものに関しては、手数料収入を約半分ずつにシェアする格好となっている。

○広告代理店事業
広告代理店事業は、情報メディアサイト「保険市場」を広告媒体とした広告枠の販売事業となる。サイトの特性上、保険に関連する会社が広告主となっている。

○再保険事業
再保険事業は、同社が保険代理店として獲得した保険契約の一部について、元受保険会社と同社の子会社であるAdvance Create Reinsurance Incorporatedとの間で再保険契約を結ぶスキームとなっている。主に生命保険の再保険を中心に引き受けており、2015年9月末時点の契約先企業は10社(生命保険5社、損害保険2社、少額短期保険3社)と前期末比で2社増加した。ストック型のビジネスモデルであるため、期初段階でほぼ年間の収入見通しが把握可能で、大きな自然災害や環境変化などが無ければ、営業利益率で15%前後の収益性が期待できる事業となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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