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【経済】NYの視点:ドラギプットが再び金融市場を救うか


欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で市場の予想通り、金融政策を据え置いた。その後の会見で、ドラギECB総裁は「12月の措置はかなり大規模なものだった」としながらも商品市場の変動率や地政学的リスクが上昇したほか、新興諸国の経済が鈍化するなど、経済の下方リスクが再び上昇したとの見解を示し、3月にも政策姿勢を再検討する必要性が出てきたと指摘した。この見解は全会一致だと付け加えた。

総裁は「ECBは世界的な要因に屈しない」としたうえ、「ECBは責務達成のため必要なことを全て行う」「状況悪化の中で政策を見直す用意がなければ中銀の信用にかかわる」とし、「責務内の行動に限界はない」と目標達成のために更なる行動も辞さない断固とした構えを見せた。ほとんど全ての中銀が世界経済の鈍化や金融市場の混乱を無視する中、原油安や世界経済の鈍化に断固として対応する方針を示した唯一の中銀となった。2012年のユーロ圏債務危機の際、ユーロ崩壊も警戒されていた中、「Wewill do whatever it takes(できる限りのことを全て行う)」と、ドラギ総裁の断固とした姿勢がユーロ崩壊、金融市場を救ったと同様、今回もドラギ総裁の断固とした方針が世界金融市場を支援すると期待されている。

ECBは12月の理事会で、預金金利の引き下げ(-0.2%から-0.3%へ引き下げ)に加え、量的緩和(QE)の期間を当初の2016年9月から6ヶ月延長したほか、購入する資産の種類を増やした。一方、市場は大幅な利下げに加えて、量的緩和(QE)規模の拡大が期待されていただけに失望感も強かった。議事録によると、一段と大幅な利下げを望んだ委員もいたものの、状況が悪化した場合に備え、更なる行動の余地を残すことで合意したことが明らかになっている。

ドラギECB総裁の会見を受けて、多くの金融機関が追加緩和見通しを前倒ししている。英バークレイズ銀は追加緩和の時期を従来の6月から3月に前倒し。預金金利を10ベーシス引き下げて量的緩和(QE)を拡大すると見ている。条件としては、1)金融市場が引き続き軟調で、2)インフレ期待が低下、3)ユーロが引き続き高いまたは、一段と上昇した場合、とした。ロイヤルバンク・オブ・スコットランドも、成長やインフレ指標が今後のインフレ期待を一段と引き下げるとの見通しから3月の定例理事会でECBが現行-0.3%の預金金利を更に10-15ベーシスポイント引き下げ、資産購入で現行各月600億ユーロ規模から10-15億ユーロ拡大すると見ている。米JPモルガンも6月から3月に前倒し。10ベーシスポイントの利下げに加え、現行で600億ユーロの資産購入規模を10億ユーロ増やし700億ユーロに拡大すると予想。さらに追加で2つのTLTRO(的を絞った長期資金供給オペ)を導入するだろうとした。ユーロ圏の速やかな追加緩和観測で、ユーロも一段の下落が予想される。

《NO》

 提供:フィスコ

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