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【市況】国内株式市場見通し:決算ピークと日銀会合を翌週に控え、外部環境と需給変化を見極める週に


■リスク資産圧縮で一時17000円割れ

先週の日経平均は下落。大発会からの連続安記録は6営業日でストップしたが、14日には一時節目の17000円を割り込む場面をみせるなど、中国の景気不安に原油価格の下落基調が嫌気されており、リスク資産を圧縮する流れが続いている。日経平均の17000円割れや原油先物価格の30ドル割れ、中国上海指数の3000割れといった流れのなか、いったんは自律反発を意識させるタイミングにもあったが、積極的な買いは続かず、戻り売りに押される格好だった。

■チャイナショックの8月安値を割り込む可能性

今週も波乱含みの相場展開を余儀なくされそうだ。15日の米国市場では上海指数の昨年来安値更新や原油先物価格が再び30ドルを割り込んだことが嫌気され、NYダウは一時500ドルを超える下落場面があった。シカゴ日経225先物清算値は大阪比355円安の16795円をつけており、チャイナショックに見舞われた昨年8月安値を割り込んでくることから、下落基調が本格化する可能性が高まる。政府サイドからはリップサービスさえも聞かれない状況であり、リスク資産の圧縮の流れが落ち着くのを見極めることになろう。

■中国の資本流出への懸念は根強い

中国では国務院による金融担当部門の格上げに向けた作業部会の設置や、日銀と中国人民銀行による通貨スワップ協定の締結に向けた交渉など、中国の金融安定化に向けた動きもみられている。しかし、中国の12月貿易統計が予想ほど悪化しなかったことでさえ、香港からの輸入を「水増し」する手法を使って中国本土からマネーを動かす動きが広がっているとの見方がされている。人民元の切り下げを受けて、輸入の偽装が本格化しているとの見方から資本流出への懸念が根強い。

原油安を背景にオイルマネーとみられるファンドの売りが続いているほか、年金等の長期資金による売りなども出てきているとの市場関係者の話も聞かれる。日経平均は年初からの下落ペースが速いが、アベノミクス期待によって、2012年の8500円処から上昇が続いていることで利益が出ている状態である。そのため、外部環境の不透明感が長期化する中では、売り対象になりやすい。また、中東情勢の緊張も不安視されているが、ジャカルタでの連続テロにより、新たにアジアでの地政学リスクへの警戒が高まりやすく、これが資産圧縮にも向かわせやすくなりそうだ。

■チャイナショック時割り込み、オーバーシュートも

決算シーズンに入ってきているが、足下の円高や中国をはじめとする新興国の景気減速懸念により、業績下方修正などへの警戒が強まっている。そのため、決算内容がネガティブ視される局面では、改めて売り込まれる状況になりやすく、決算を見極めるまでは積極的な売買は手控えられよう。

なお、決算ピークとなる1月下旬には日銀の金融政策決定会合(28-29日)が予定されている。タイミングとしては、この辺りでの目先底が意識されてくることが考えられる。そうなると、今週辺りは冷静に下値を拾う週になる展開が期待されるが、テクニカル面は有効に機能しないだろう。外部環境と需給状況による変化を見極めることになりそうだ。その他、年初からの急ピッチの下落により、ポジションはショートに傾いているほか、個人などはテーマ株での回転売買を繰り返しているため、それ程シコリはないと考えられる。昨年8月安値を割り込むことでオーバーシュート気味に下げが拡大する可能性はあるが、投資家心理としては底入れのタイミングを狙っていることだろう。

■訪日外国人客数やゴールドマン決算に関心

来週の経済イベントとしては、18日に12月の全国・東京地区の百貨店売上高、日銀全国支店長会議、19日に12月のマンション発売、訪日外国人客数、20日に12月のコンビニエンスストア売上高、1月分の月例経済報告、21日に12月の全国スーパー売上高、22日に12月の鉄鋼生産、電力需要が発表される。また、海外では19日に中国が10-12月GDPや工業生産、小売売上高、固定資産投資などを発表する。20日から23日までは、世界経済フォーラム・ダボス会議が開催されるほか、21日に欧州中央銀行(ECB)が政策金利を発表する。決算については、国内は翌週がピークとなるが、米国では本格化しており、バンク・オブ・アメリカやモルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス・グループ、IBM、ネットフリックスなどが予定されている。

《FA》

 提供:フィスコ

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