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【特集】プラザクリエイト Research Memo(3):フォト&モア・ショップ化には明確に効果が認められる


■プリント事業の動向

(1)概要

プリント事業の成長戦略の柱は店舗のリニューアルによる集客増加だ。プラザクリエイト<7502>は2014年3月期から「PHOTO & MORE(フォト・アンド・モア)」をスローガンに新しい店づくりを開始した。フォト&モアに込められた思いは「事業の軸となる写真の品質を磨き続けること、そこから、サービス領域を拡大し、人の幸せを広げること」というものだ。フォト&モアというのは、店のデザインや商品政策はもちろん、店長を始めとする従業員の気構えにまですべてに適応されるべきコンセプトでもある。この店舗の“フォト&モア・ショップ”化こそが、プリント事業の成長戦略そのものとなっている。

(2)フォト&モア・ショップの実績

フォト&モア・ショップの効果は明白だ。2016年3月期第2四半期(2015年4月?9月)の直営既存店全店ベースの売上高は前年同期比101.1%であったのに対して、フォト&モア・ショップだけに限定した既存店売上高は同106.5%であった。フォト&モア・ショップ化がスタートして丸2年が経過しようとしている状況で、既存のフォト&モア・ショップの中には2年目、3年目の店舗も増えてきている。それらの店舗の前年比売上高の動向を確認したところ、前年対比で100%超の売上高を挙げている店舗が多く、一部には前年対比2ケタ増収が続いている店舗もあるとのことだ。このような実績から判断して、「フォト&モア」というコンセプトは顧客ニーズにマッチしたものであり、同社の店づくりは正しい方向性を歩んでいると評価できるだろう。

(3)人材強化策

前述のように、店舗のフォト&モア・ショップ化は店のデザインや品ぞろえにとどまらず、従業員の意識改革も組み合わさって完成するものだ。同社はフォト&モア・ショップ化に際しては店長の入れ替えも同時に行うことを基本としている。これまでのプリントショップに求められていた店長像は、写真に詳しく、良い現像・プリントのスキルを持った、いわゆる技術者・職人タイプの人間だった。しかし、フォト&モア・ショップで必要とされるのはまったく異なる。プリントの品質はカメラ、スマートフォン及び現像機の性能向上で、人間のスキルや好みを介在させる余地がなくなってきた。他方、店頭において顧客に対して積極的に提案できることが求められている。すなわち、フォト&モア・ショップの店長像は、コミュニケーション能力が高く、顧客の隠れたニーズを引き出し、それに応じた提案ができるタイプの人間だ。

同社は今第2四半期に71名の店長候補者を採用した。その選考に際しては2,528名の応募者があったとしている。この数字から浮かび上がってくることは2つだ。1つは、多数の応募者の中から、同社が厳選して理想的な店長候補の71名を採用できたということだ。もう1つは、フォト&モア・ショップが一般消費者に対して、「私もここで働きたい」と思わせるような店づくりに成功しているということだ。

(4)店舗展開状況と今後の計画

同社は2015年9月末時点で、直営プリントショップを425店展開している。そのうち直営のフォト&モア・ショップは、今第2四半期中に49店のリニューアルを行った結果、98店に増加した。10月までにさらに20店のリニューアルを行っており、残りは約300店であるが、このうち50店が移転含みであるため、リニューアル待機店舗は約250店ということになる。同社は2016年3月期下期(11月以降)において、最大150店のリニューアルを行う可能性があるとしている。

前述のように、フォト&モア・ショップ化には明確に効果が認められるため、フォト&モア化を加速させて収益拡大につなげようとする戦略は正しいと弊社では考えている。リニューアルに際しては、改装費用(内・外装工事費、什器購入費など)に加えて諸経費(店舗の休業損失も含む)がかかり、1店舗当たりの平均的なリニューアル費用(改装費と諸経費の合計)は、今第2四半期においては約4百万円だった。この数字は、同社がかねてより目標としていた水準よりは多い。背景には建築業界の人手不足で工事費が思うように下がらないことや、工期が短縮できないため休業損失がかさむといったことがある。業績計画において下振れリスクがあるとすれば、その発生要因はここではないかと弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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