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【特集】アールシーコア CORPORATE RESEARCH(9/10):今年度末の契約残高は過去最大を見込む


契約残高
公表資料によると、今年度上期終了時点での契約残高は6,323百万円と、前年度末の6,356百万円とほぼ同じ水準となっている。Iレポート(2015年7月22日に発行されたイニシャルレポート)で指摘したように国土交通省が公表している「建設技能労働者過不足率」は2014年春をピークになだらかに低下しており、アールシーコア<7837>(以下「RCC社」、「同社」)の契約残高も同じ時期の13年度末をピークとして減少に向かっている。そのため、今、契約を行った場合の引渡しまでに費やす期間は、直販部門で8~9ヶ月、販社部門で5~6ヶ月の水準で推移していると判断される。
一方で、同社は今年度末の契約残高見込みを7,000百万円と、13年度末のピーク時6,733百万円を超える過去最大としているが、筆者は、前述のとおり下期の契約高は下方に着地すると考えており、今年度期末残高がこのように大きな金額となるとは考えていない。

また、契約残高の増加により、受け渡しまでの期間がさらに長くなることは、同社にとってメリットはないと考えている。2014年4月の消費増税の際に、住宅における5%、8%の適用基準は、2013年9月までの契約分については一律で5%を適用し、以降の契約分については受け渡し時期が2014年4月1日より前であるか、それ以降であるかによって区分された。そのため、住宅販売会社は2013年10月以降も積極的に翌年3月までの引渡しを前提としたキャンペーンを行ったが、同社は引渡しまでの期間が他社に比べて長いため2013年10月以降に生じた反動減が他社よりも大きく出た経緯がある。2017年4月からの消費税率の再引上げについての基準はまだ流動的ではあるが、契約残高は翌期の売上原資ではある一方で翌期の契約圧迫材料でもあり、消費税率再引上げ前である現在は、このことを認識する必要があると思われる。

スプリングキャピタル株式会社 井上 哲男

《HN》

 提供:フィスコ

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