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【特集】ミロク情報サービス Research Memo(3):新規顧客開拓によりサービス収入が伸長し売上高の成長が続く


■決算動向

(1) 2016年3月期第2四半期累計業績

10月30日付で発表されたミロク情報サービス<9928>の2016年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比5.1%増の11,833百万円、営業利益が同10.0%増の1,433百万円、経常利益が同8.5%増の1,452百万円、四半期純利益が同2.9%増の837百万円となり、半期ベースで過去最高業績を連続で更新、期初計画に対しても売上高、利益とも上回るなど順調に推移した。また、営業利益率も12.1%と上昇基調が続いている。

同社がここ数年取り組んできた「顧客基盤とサービス収入の拡大」「受注残高を意識した経営目標管理の徹底」が収益拡大の要因と考えられる。新規顧客の開拓に加えて、サービス収入の増加により売上高の成長が続いているほか、収益性の高いサービス収入の販売構成比上昇により、売上総利益率も64.5%と前年同期比0.8ポイント上昇した。人員体制の強化(新卒社員80名採用)やテレビCMなど広告宣伝費を積極投下したことで販管費が増加したが、増収効果によって営業利益は2ケタ増益となった。四半期純利益に関しては、投資有価証券評価損など特別損失を61百万円計上したものの、前年同期比2.9%増益となっている。

なお、同社が経営指標として重視しているシステム導入契約売上高に関する受注残高も9月末時点で4.87ヶ月となり、前期末の4.21ヶ月から順調に積み上げが進んだ。

(2)販売先別、品目別売上動向

○システム導入契約の販売先別売上動向
システム導入契約売上高(ハードウェア、ソフトウェア、ユースウェアの売上合計)は前年同期比2.3%増の7,457百万円と堅調に推移した。販売先別で見ると、会計事務所向けは既存顧客に対する情報セキュリティ対策関連商品の販売が増加したことが寄与し、前年同期比2.0%増の2,862百万円となった。

一方、一般企業向けは同2.0%減の3,484百万円と減少した。新規顧客向けに関しては同9.1%増の1,074百万円と順調に拡大し、一般企業向け売上に占める比率が前年同期の27.7%から30.8%に上昇した一方で、既存顧客向けの売上高が6.3%減少したことが響いた格好だ。新規顧客の開拓や新製品となるマイナンバー管理システムに関する顧客への説明に注力した影響で、既存顧客におけるERPシステムの買い替えが下期以降にズレ込んだことが減収要因となった。

また、その他の売上高については、パートナー経由の売上高や子会社の売上高が増加したことにより、同20.1%増の1,111百万円となった。

2016年1月のマイナンバー制度導入を控えて、同社はマイナンバー管理システムの販売を9月中旬より開始した。売上高は数千万円にとどまったものの、受注は第2四半期累計で5億円強と好調な滑り出しとなった。また、マイナンバー管理システムの導入に先立って、情報セキュリティ対策を強化する動きが会計事務所や一般企業で強まり、情報セキュリティ対策関連商品も好調に推移した。

○サービス収入の動向
サービス収入の売上高は前年同期比8.1%増の4,054百万円と順調に拡大した。新規顧客の増加に伴い、ソフト運用支援サービス(企業向けソフト保守サービス)が同9.2%増の1,746百万円と堅調に推移したほか、会計事務所を通じた小規模事業者向けの簡易版会計ソフト(ソフト使用料)が同13.6%増の468百万円と2ケタ増収基調が続いた。また、会計事務所向け総合保守サービスであるTVSの売上高も、同1.9%増の922百万円と底堅く推移した。これらサービスはストック型収入となるため、顧客数の拡大に伴って売上高も安定的に拡大していく格好となる。

○品目別の売上動向
全体の売上高動向を品目別で見ると、ソフトウェアは中堅企業向けERP「Galileopt NX-I」やそれに付随する個別開発ソフトの売上高が増加したことで、前年同期比3.5%増の4,617百万円となったほか、新規顧客の増加に伴いサービス収入が同8.1%増の4,054百万円と堅調に推移した。また、ソフトウェア売上の増加に伴いユースウェアが同4.7%増の1,379百万円となったほか、その他売上高も同44.3%増の322百万円と増加した。その他売上高の増収要因は、中小企業の経営者やビジネスパーソン向けに運営しているWeb情報サイト「bizocean(ビズオーシャン)」の広告収入増による。登録会員数が前期末の150万人強から160万人強と順調に拡大しており、広告媒体としての価値が上昇している。唯一、ハードウェアが同3.2%減の1,461百万円と減収となったが、これは前年同期にWindows XPの公式サポート終了による更新需要が集中した反動減によるものとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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