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【特集】ラクーン Research Memo(7):過去最高業績の更新が続く見通し


■今後の見通し

(1) 2016年4月期の連結業績見通し

ラクーン<3031>の2016年4月期の連結業績は売上高が前期比10.4%増の2,270百万円、営業利益が同23.5%増の415百万円、経常利益が同25.4%増の410百万円、当期純利益が同29.4%増の260百万円と2ケタ増収増益、過去最高業績の更新が続く見通しだ。セグメント別の見通し、及び下期以降の施策は以下のとおり。

○EC事業
EC事業では「スーパーデリバリー」の流通額回復と「SD export」の軌道化に向けた取り組みを進め、通期でも増収増益を見込んでいる。

「スーパーデリバリー」の流通額に関しては、通期で前期比3%程度の増加を見込んでいる。足元の月次動向は前年同月水準を挟んだ動きが続いており、まだ回復軌道に乗っているわけではないものの、会員数の拡大や商材掲載数の増加によって流通額を増やしていく戦略だ。

また、サイトに掲載する商材の拡充も進めていく方針だ。当初はアパレル・雑貨から始まった「スーパーデリバリー」の取扱い商材も、今では家具・寝具・インテリア、電化製品、什器・店舗資材、食品・飲料など多様な商材を取り扱うようになっている。2015年12月には子供用雑貨などを扱う会員小売店からのリクエストを受け、新たに子供用絵本の販売も開始した。今後もニーズのある商材に関しては取り扱っていく方針で、流通額の拡大に寄与していくことが予想される。また、出展企業数についても「SD export」を開始したことで注目度が高まり、増加ペースが加速していることもプラス要因となる。

一方、「SD export」に関しては8月のサービス開始以降、会員小売店舗や出展企業から寄せられた要望、またサイト内での行動分析などを検証した上で、サイトの仕組み変更や機能追加などユーザビリティの向上に取り組んでいる。また、一部では「スーパーデリバリー」の会員に登録し直して、購入を始めるといった動きも見られた。

いずれは現在、英語表示のみにとどまっているサイトの表記方法も複数言語に対応していく考えだ。ただ、一方で商材掲載数が少ないといった課題も残っているため、出展企業及び掲載商材数を拡大していく考えだ。

また、会員数を獲得していくためのプロモーション施策としては、従来インターネット広告を行ってきたが、下期以降はこれに加えて海外の有力ブロガーなどに記事を書いてもらうことで認知度の向上を図り、会員数を増やしていく方針となっている。「SD export」の立ち上げ費用として2016年4月期は32百万円程度となり、初年度としては赤字となるが、「スーパーデリバリー」のサービスを開始した当時よりも立ち上がりのペースは早く、数年後には流通額で国内向けを超える規模に成長すると見ている。

「COREC」については引き続き会員数の獲得と機能の拡充を優先し、当期も収益への貢献は見込んでいない。ここ最近では、広告費をかけずに自己増殖的に新規会員を獲得できる仕組みも機能し始めており、今後も会員数の拡大が続くものと予想される。

○Paid事業
Paid事業については下期も2ケタ増収ペースが続き、セグメント利益も取引高の増加とともに右肩上がりで拡大していくことが予想される。EC市場の拡大とともに、オンラインでの企業間決済代行サービスの需要も年々増加しており、同サービスで先行する同社にとってはこれから本格的な収穫期を迎える事業と言える。

業務提携は下期に入っても積極的に進めており、11月に夢の街創造委員会<2484>が運営する仕入・販促・運営支援サイト「仕入館」に、12月にはLINE(株)が運営するLINE@でPaidサービスの提供をそれぞれ開始したことで、取引高の一段の拡大が見込まれている。また、ニーズに合わせた商品設計の開発・提案などにより、今後も顧客ターゲットも拡大していく方針で、中長期的な成長ポテンシャルは大きいと言えよう。

○売掛債権保証事業
売掛債権保証事業は下期も保証残高の増加基調が続く見通し。前期は第4四半期に一時的に多額の保証履行が発生し、利益の伸び悩み要因となったが、今下期の保証履行率が例年並みで推移したとすれば、業績は2ケタ増収増益が見込まれる。

保証残高の拡大施策としては、業務提携やWebの活用を推進していくほか、現在、新たな保証サービスの開発、OEMサービスの展開にも注力していく方針だ。また、生産性を向上していくため、審査プロセスなどのシステム化も進めていく。

(2)新サービスについて

同社は2015年11月より「スーパーデリバリー」の付帯サービスとして「SD factory」のサービスを開始した。同サービスは、アパレル関連の国内工場やパタンナーとアパレルメーカーをマッチングするサービスとなる。「スーパーデリバリー」に出展する企業に対して、生産面での新たな付加価値を提供していくサービスだが、出展企業以外のメーカーやオリジナル商品を作りたい小売店、新しいブランドを立ち上げたいデザイナーなどへも同様の付加価値訴求ができるサービスとなっている。

サービスの利用料はすべて無料としているため、EC事業としての収益寄与はないものの、取引が成立した際の代金回収については、Paidサービスを利用することが可能となっている。このため、今後取引件数が拡大していけば、Paid事業への収益寄与が期待されることになる。ビジネス形態としてはクラウドソーシングサービスとなるが、収益は売掛決済代行及び保証サービスによって獲得していくモデルとなる。なお、12月14日時点で「SD factory」のサイトに登録している縫製業者やパタンナーは22社となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《RT》

 提供:フィスコ

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