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【経済】中国市場は当局の小手先の対応で混乱


年初から中国株式市場が大混乱に陥っている。今年から一定の値下がりで取引を停止するサーキットブレイカーを導入したが、最初の4日で2回も発動する暴落をみせた挙句、サーキットブレイカー制度自体がいったん停止された。
 原因ははっきりしている。中国の経済減速に対する中国当局の政策が小手先かつ場当たり的だからだ。
 まず、経済指標が弱含んでいることを受け、中国当局はまたしてもなんの前触れもなく人民元を大幅に切り下げた。これは同じく人民元の切り下げを端緒として去年の8月の株価暴落のデジャヴのようだった。人民元の大幅かつ強引な切り下げは中国景気の減速をより強く再認識させ、また唐突に実施したために世界の金融市場を動揺させたが、前回の教訓は活かされず、またしても同じ轍を踏むこととなった。
 さらに、株価暴落に対しては、上記のようにサーキットブレイカーを導入したかと思えば、すぐに撤回、大株主の売却規制解除期限が迫ると、大株主の規制延期を検討と、当局の対応は場当たり的な対応に終始し、さらに市場は混迷を深めるといった悪循環に陥っている。
 中国市場が小手先の対応ではどうにもならないことはもはや誰の目にも明らかだ。中国は不動産バブルと株式バブルがいったん弾けている以上、日本のバブルや米国のリーマン・ショック後と同様にやるべきことははっきりしている。それは大規模な金融緩和と財政出動をともなう景気対策だ。
 昨年末の中国の中央経済工作会議では金融緩和と財政出動について一応の方針が示されていたが、中途半端な対応では減速が止まらないおそれがある。求められているのは小手先の対応ではなく、抜本的な対策である。
 アジアインフラ投資銀行(AIIB)による大規模なプロジェクトへの投資を前倒しで実施し、需要を創出することも検討すべきだろう。
《YU》

 提供:フィスコ

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