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【特集】PCIーHD Research Memo(6):上場による資金調達により借入金を全額返済し無借金経営を実現


■財務状態

PCIホールディングス<3918>の2015年9月末における総資産残高は3,285百万円となり、前期末に比べ491百万円増加した。これは、固定資産が投資有価証券の減少(124百万円)により前期末に比べ126百万円減少したものの、流動資産が618百万円増加したことが要因。その内訳は、繰延税金資産が減少(47百万円)したものの、株式上場による資金調達や当期利益の計上などにより現金及び預金が増加(482百万円)したほか、売上債権(68百万円)や有価証券(固定資産から100百万円振替え)などが増加した。

負債合計は1,171百万円となり、前期末比で379百万円減少した。これは、流動資産が400百万円減少したことが主要因。その内訳を見ると、買掛債務の増加(64百万円)があったものの、上場による調達資金で返済を行ったために短期借入金がなくなった(250百万円)ことに加えて、未払金の減少(141百万円)、未払消費税等の減少(68百万円)があった。対照的に、純資産は前期末比871百万円増加し2,114百万円となった。これは、当期純利益330百万円、新株発行による資本金318百万円及び資本剰余金318百万円の増加があったことが要因。

上場による資金調達により、借入金を全額返済し無借金経営を実現した。また、安全性を表す指標である流動比率が一般に良いとされる目安である200%を超える281.5%となったほか、自己資本比率も前期末の44.5%から64.3%へ上昇するなど、大幅な改善となった。

一方、エンベデッドシステム(組み込み)開発を主力事業とする同業他社5社と比較すると、上場による資金調達により安全性を表す指標は、同業他社と同水準かそれ以上となった。収益性に関してはみると、営業利益率は同社と同規模のアドソル日進、同社より大手のアイ・エス・ビーやコアを上回る7%の水準をキープしているほか、成長性に関しても、東日本大震災等の影響により利益が低く抑えられていたために経常利益の伸びが高くなっている点を除けば、売上高、総資産ともに同業他社を若干上回る水準となっており、特段問題点はみられない。今後、BP戦略の本格化や、新規事業の拡大が進めば、成長性、収益性ともに同業他社を上回る水準になる可能性が高いと弊社では予想する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)

《HN》

 提供:フィスコ

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