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2016年01月08日16時04分

【特集】日本アジア投資 Research Memo(1):主力はベンチャー投資、新規投資分野にも注力


日本アジア投資<8518>は、日本とアジアにまたがる独立系の総合投資会社として、主力のベンチャー投資のほか、グロース投資やメガソーラー事業投資などの新規投資分野にも注力している。1981年に経済同友会を母体として設立され、豊富な投資経験とブランド、ネットワーク、人材、事業パートナーなどの事業基盤に強みがある。革新的な技術やビジネスモデルを持ち、高い成長力を有するベンチャー企業や中堅・中小企業等への投資を通じて、日本とアジアの両地域における産業活性化や経済連携の拡大などに貢献をしてきた。同社グループが管理運用等を行っているファンド運用残高は411億円(18ファンド)、同社の自己資金及び運用ファンドによる投資残高は186億円となっている(2015年9月末現在)。

経済情勢や株式市場等の影響を受けやすい事業特性から業績は不安定な状況で推移してきたが、有利子負債の返済やコスト削減に取り組み、財務体質の改善に一定のめどが立ってきた。また、安定収益の拡大などを目的として参入したメガソーラー事業投資も順調に立ち上がっている。2015年12月には香港の大手投資グループFirst Eastern グループとの資本業務提携と成長資金調達のための新株予約権の発行も行っており、同社は新たな成長フェーズに入るものとみられる。

2016年3月期上期(2015年4月?9月)の業績(ファンド連結基準)は、営業収益が前年同期比13.2%増の2,735百万円、営業利益が26百万円(前年同期は438百万円の損失)と増収及び8年ぶりに上期の当期利益が黒字に転換した。投資先のIPO(新規上場)は大型案件の延期等から若干減少したものの、未上場の投資先の相対取引(トレードセール)や既上場株式の売却を進めたことが増収に寄与した。また、前期業績の足を引っ張った特殊要因(投資先の経営破綻による評価損)の影響が解消されたことにより大幅な損益改善となった。

2016年3月期の業績予想について同社は、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きく、合理的な業績予想が困難である事業特性であることから公表を行っていない。弊社でも、下期の業績は株式市場等の動向に大きく左右されるものとみているが、上期の実績等から勘案して、下期の売却が計画通り進捗し、また、前期のような特殊要因がなければ、大幅な損益改善を達成できるものと見込んでいる。

同社の事業戦略の柱は、(1)注力分野への投資とファンドの早期設立、(2)インカムゲイン志向型投資の拡大、(3)既存ポートフォリオの価値向上、(4)財務体質の強化の大きく4つである。(1)については2015年12月に国内大手金融機関からの出資を受け25億円規模のベンチャー企業向けファンドの設立を決定したほか、後続ファンドの設立に注力している。また、(2)についてはメガソーラー事業投資を中核に据えており、2018年3月期までに100MWのプロジェクトを完成させ、売電を開始する計画である。長年の課題となっていた安定収益の拡大を始め、さらに大きく発展させることで証券化ビジネスへの展開や関連する投資分野とのシナジー創出も視野に入れているようだ。2015年8月には再生可能エネルギーの発電事業等を手掛けるベンチャー企業への投資を行うとともに、11月にはメガソーラープロジェクト向けファンドの設立を決定するなど、着々と事業の進展を図っている。(3)については、同社が有望先と期待しているベンチャー企業の育成に注力する。

加えて、特筆べきは、2015年12月に発表された香港の大手投資グループFirst Eastern グループとの資本業務提携と、成長資金調達に向けた新株予約権の発行である。

First Eastern グループは香港を代表する投資グループであり、製造業、金融関係、航空産業、ホテル事業、インフラ事業等の幅広い分野において、全世界で約200社へ投資をした実績を持つ。日本では、ANAホールディングス株式会社と共同で格安航空会社のPeach Aviation(ピーチ・アビエーション)株式会社を設立している。同グループの代表者であるVictor Chu氏は、世界経済フォーラム(ダボス会議)理事や、香港EUビジネス協力委員会の議長、ロンドン市長国際ビジネス評議会のメンバー等の要職を務める人物である。

First Easternグループは現在も同社の大口借入先であるが、今回の資本提携は同社にとって835百万円の借入金が資本に振り替わる結果となるため、債務の圧縮と自己資本の増強により財務体質が強化される。また、成長資金調達のため新株予約権の発行も同時に行っており、予約権の行使が進捗するにつれ財務体質は今後も強化される見込みである。

また、同社は、First Easternグループとの業務提携の第1弾として、2016年6月を目途に100億円から200億円規模で日本の成長企業を投資対象としたファンドの設立を目指している。後に述べるとおり、First Easternグループと同社は、2015年8月に、同社のメガソーラー事業のパートナー企業であるリニューアブル・ジャパン株式会社への共同投資の実績がある。今後も、新設予定のファンドに向けの投資候補となる有望企業の開拓に注力する。同社は、その他にも、M&A及び不動産投資に関する助言業務や、アジアでの投資、インフラ及びエネルギーに関連する投資など広範に亘る業務提携を行う計画であり、今後の同社の事業ポートフォリオの多様化を示唆している。

弊社では、今後の進捗状況をフォローするとともに、同社ならではの価値創出をどのような形で実現していくのかに注目していきたい。

なお、同社は2007年3月期より、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」を適用し、同社グループが管理運用する投資事業組合等を連結範囲に加えるファンド連結基準に移行している。ただ、ファンド連結基準は同社以外の外部出資者の持分が含まれていることやファンドごとの財務方針が反映されるところに注意する必要がある。同社では、投資家からの要望に応じて従来連結基準も同時に開示しているが、弊社でも、より実態を示しているとの判断から従来連結基準による分析を行っている。

■Check Point
・アジアでの実績と圧倒的なブランド力
・第2四半期は増収・大幅な損益改善
・環境・エネルギーなど注力分野へ投資

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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