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【特集】コニシ Research Memo(5):第2四半期は増収増益、営業利益は期初予想を上回る


■業績動向

(1) 2016年3月期第2四半期の実績

○損益状況

コニシ<4956>の2016年3月期第2四半期の業績は、売上高56,373百万円(前年同期比3.1%増)、営業利益2,626百万円(同12.3%増)、経常利益2,682百万円(同17.3%増)、四半期純利益1,434百万円(同9.5%増)となった。売上高は期初予想に300百万円だけ届かなかったが、ほぼ達成と言ってよいだろう。営業利益以下は期初予想比でもプラスとなっており予想を上回る結果であったと言える。

営業利益は前年同期比で287百万円増加したが、マイナス要因としては販売管理費の増加153百万円、工場経費の増加124百万円、価格の下落48百万円等があったが、プラス要因としては、原材料価格の変動(下落)323百万円、販売数量増による利益増289百万円があった。

セグメント(事業)別売上高は、ボンド事業27,754百万円(同2.8%増)、化成品事業24,942百万円(同2.6%増)、その他事業3,694百万円(同8.5%増)となった。営業利益はボンド事業2,179百万円(同7.4%増)、化成品事業280百万円(同21.3%増)、その他事業173百万円(同112.5%増)となり、すべての部門で増収・増益となった。各事業の詳細は以下のようであった。

▼ボンド事業

◇住関連用:売上高9,974百万円(前年同期比3.1%増)
新築住宅向けが消費税増税の影響から脱却して回復したことから好調に推移した。特に第1四半期には前年同期比1.4%増で遅れていたが第2四半期に大きく盛り返し上半期では3.1%増となった。用途別では現場施工用が8,717百万円(同3.6%増)、建築資材用が1,203百万円(同0.6%減)となった。また子会社のサンライズMSIの住関連売上高は3,814百万円(同6.3%減)となったが、業界内の競争が激化し一部の案件を取り損なったことによる。もう1つの子会社である矢沢化学工業(株)の売上高は1,210百万円(同5.1%減)となったが、これは決算期のズレ(前年同期は3~8月、今期は4~9月)によるもので、4~9月ベースでの実質では3.0%増となっている。

◇産業資材用:売上高3,036百万円(同2.4%増)
主な製品はパネル用途向けウレタン系接着剤、自動車関連産業向け離型剤、産業用ホットメルト系接着剤などだが、堅調な需要に支えられて増収となった。

◇土木建築用:売上高11,672百万円(同1.3%減)
土木用は906百万円(同11.5%増)と堅調であったが、これは道路やトンネル、橋梁など社会インフラ向け需要が堅調であったことに加えてシェアも上がっていることによる。建設用も4,754百万円(同5.9%増)と堅調であったが、これは昨年落ちた分が戻ったことによる。ただし需要は底堅く傾向としては上向いている。

◇一般家庭用:売上高3,288百万円(同5.8%増)
積極的な販売促進により好調に推移した。年間の広告宣伝費を上半期にやや前倒しで使ったこともあり、その効果が出ている。手芸や裁縫に使われる「ボンド 裁ほう上手」も堅調に推移している。同社にとっては女性をターゲットにした製品であると同時に今までのホームセンターとは異なるルート(手芸店等)で販売される製品であるため、今後の動向が注目される。

▼化成品事業

コニシ単独の化成品事業売上高は18,816百万円(同1.3%減)となった。向け先別では、自動車向けは7,017百万円(同8.2%減)と落ち込んだが、これは国内・海外での自動車生産が低調であったことによる。電子・電機向けは2,960百万円(同11.6%増)、化学工業向けも3,727百万円(同4.5%増)と久しぶりに前年同期比で増収となったが、これは比較的大きな案件(プラスチックケース向けの樹脂等)を獲得したことによる。塗料は2,610百万円(同2.5%減)、その他1,831百万円(同0.8%減)となったが売上規模が小さいので部門に与える影響も小さい。主要子会社の丸安産業の売上高は6,108百万円(同10.1%増)と好調であったが、これは主に医薬中間体関係の新規受注があったことによる。

▼その他事業

その他事業の売上高は3,694百万円(同8.5%増)と好調に推移した。主力である工事請負事業の売上高は3,353百万円(同10.6%)と続伸した。主要子会社であるボンドエンジニアリング、コニシ工営(株)は増収であったが、近畿鉄筋コンクリート(株)はわずかながら減収となった。その他は化学品のデータベース事業であり341百万円(同8.8%減)と振るわなかったが、時期によって売上高が変動するのでさほど大きな問題ではない。

○財務状況
2016年3月期第2四半期末の財務状況は、流動資産は802百万円増加し61,612百万円となった。主に現預金の増加2,000百万円、売掛債権の減少1,590百万円、棚卸資産の増加117百万円による。有形固定資産の増加463百万円、投資その他資産の減少185百万円等から、固定資産は前期末比で289百万円増加し25,598百万円となった。その結果、総資産は87,212百万円(前期末比1,092百万円増)となった。

負債合計は、仕入債務の減少617百万円、短期借入金の増加89百万円、退職給付にかかる負債の増加85百万円等から、35,581百万円(同139百万円増)となった。また純資産合計は主に四半期純利益の計上等から、51,629百万円(同952百万円増)となった。

○キャッシュフローの状況
営業活動によるキャッシュフローは3,094百万円の収入であったが、主に税金等調整前四半期純利益の計上2,326百万円、減価償却費890百万円、売上債権の減少による収入1,610百万円等による。投資活動によるキャッシュフローは796百万円の支出であったが、主に有形固定資産の取得による支出1,008百万円等による。財務活動によるキャッシュフローは28百万円の支出であったが、主に配当金の支払い296百万円による。

以上から2016年3月期第2四半期の現金及び現金同等物は2,010百万円増加し、期末残高は16,661百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《HN》

 提供:フィスコ

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